<楽天3-1ロッテ>◇17日◇コボスタ宮城

 楽天銀次内野手(26)の笑顔が、お立ち台で輝いた!

 1-0と1点リードの6回1死一塁。7月1日オリックス戦以来の4号右越え2ランを放ち、チームを勝利に導いた。試合前には、東北復興支援活動の「サントリー東北サンさんプロジェクト」のアンバサダーに就任。天真らんまんな銀次の笑顔は、東北を、楽天を、明るく照らす。

 まさに値千金のアーチだった。初球のチェンジアップが高めに来た。魂のフルスイングの結果は、右越え2ランだった。「高めにきたボールを、コンパクトに一振りで仕留めることが出来ました」と納得の表情。「ホームランになったのはたまたまです」と、本塁打には、こだわりはない。星野監督に「銀次の本塁打は大きかった」と言わせたように、勝利に貢献したことの方が、うれしかった。

 お立ち台では満面の笑みだ。隣に立ったのは、今季初勝利の菊池。守備位置の三塁から見て「大汗をかいて頑張っているので、とにかく援護してやろう」と思っていた。その一念をアーチでかなえた。「顔はイマイチですが、気合は入っていたのが、良かったんじゃないですか」と、一生懸命な後輩の白星を喜んだ。

 試合前も笑顔だった。この日は「サンさんプロジェクト」アンバサダー就任の日でもあった。プロジェクトのスポンサー、サントリーに所属する、気仙沼市出身のパラリンピック選手・佐藤真海(32)の始球式も行われた。銀次と同じ背番号「33」を付けた佐藤に、銀次がキャッチボールの指導をしていると、ベンチの星野監督から「下手な番号を付けているな」と横やりを入れられた。銀次は「いやあ、サンさんプロジェクトです」と答えると、佐藤も交えて笑顔の輪ができた。試合後の銀次は「初めてお会いしたけど、きれいな方でしたね。レモンの香りがしたかな」と、またニッコリ。

 2試合連続3安打で、打率3割に復帰した。3割についての質問には「目標は3割じゃないので、何とも思いません。最低で3割なので」と、この時ばかりは真顔だった。だが、次の瞬間は「どんどん上げていけばいいんです」と、笑顔に戻った。言葉通りの上昇を期待したい。【金子航】