<西武3-3日本ハム>◇17日◇西武ドーム

 プロ野球史上初、ラッキー満載の珍事に見舞われた。日本ハムが2試合連続で、劣勢から延長12回引き分けに持ち込んだ。頼みの大谷が1回に3点の先制を許したが、西武の守備の乱れに乗じて加点。2点を追う6回1死満塁で相手バッテリーの暴投&捕逸の信じられないミスで追いつき、救われた。2試合連続引き分けは7年ぶり。前夜は5時間48分、この日は同14分。史上初の2戦連続5時間超のプレミアものの死闘を今後に生かす。

 勝利の女神を、この日もほほ笑ませられなかった。2日間で計11時間2分も戦った。プロ野球史上初の2試合連続5時間超えで、連夜の引き分け。栗山英樹監督(53)は割り切っていた。「(好機で)ヒットが打てないもんね。それじゃ勝てない。野球の神様が許してくれない」。チャンスは再三あったが適時打はなし。拙攻の連続も、負けなかったことが救いだった。

 4番は悔いていた。中田翔内野手(25)は4度、好機で打席が回ってきたがすべて凡退。今カード初戦の15日も2度の好機に凡退し、チームは敗戦。前日16日の試合前、栗山監督から「打てなかったら、次打つしかないんだ」と、ゲキを飛ばされていた。最後のチャンスは延長11回。2死一、三塁の場面で見逃し三振に終わった。「悔しいね。チャンスを、つぶしているんでね。何の言い訳もできない」。得点圏に走者を置いたのは9度。凡打を繰り返したのは主砲だけではない。打線全体で、あと1本が出ていれば…。勝利は、近づいていた。

 それでも野球の神様は、見放してはいなかった。2点ビハインドの6回は、思わぬ形で追いついた。1死満塁で代打・稲葉の場面で相手バッテリーが捕逸、暴投と立て続けにミス。自力ではなく他力で2点、振り出しに戻した。前夜も9回に小谷野のボテボテの三ゴロが、三塁ベースに当たって適時内野安打。敗色濃厚から一転、引き分けに持ち込んだ。連夜の神懸かり的な命拾いが、球史に残る珍事の伏線になった。

 長い2日間が終わった。勝てなかったが、負けなかった。栗山監督は「明後日からまた頑張ります」と前を向いた。今日18日に北海道へ戻り1日のオフを経て、楽天3連戦(19、20日=旭川、21日=札幌ドーム)。勝利の女神を振り返らせる。【木下大輔】

 ▼西武-日本ハム戦は2試合続けて延長12回の引き分け。試合時間は16日5時間48分、17日5時間14分と、2試合とも5時間を超えた。同一カード3連戦で5時間超えが2試合は92年9月29日5時間27分、10月1日6時間1分の広島-ヤクルト戦、99年9月3日5時間19分、5日5時間6分の近鉄-西武戦、06年8月29日5時間15分、31日5時間14分の日本ハム-楽天戦に次いで4度目。過去3度はすべて1戦目と3戦目で、2試合連続で5時間を超えたのはプロ野球史上初めてだ。