<日本ハム6-4楽天>◇20日◇旭川

 小さな積み重ねが、勝利への土台になった。日本ハム谷元圭介投手(29)に4勝目が舞い込んだ。1点を追う7回。3番手で登板。走者を背負う苦しい展開も、淡々と無表情で強気に攻めた。「とにかくゼロに抑えて、味方の攻撃を待つ。1球を大事に」。1回2安打無失点。その裏に打線が勝ち越しに成功。小気味よいテンポを刻み、攻撃のリズムをつくった。

 直接対決で成果を上げた。楽天福山には強烈な対抗心を抱いている。不定期で掲載されている中継ぎ投手の成績表では一時期、谷元がトップで2位が福山だった。福山はメキメキと力をつけ今季の球宴では2試合連続で登板するなど晴れ舞台でも活躍した。「向こうは、えげつない数字を残している」。闘争心をあおってくれる存在になった。身長は谷元より4センチ高い171センチで、パワフルな投球フォームは共通する。この日は乱調でピンチを抑えられなかった福山とは対照的な粘りの投球だった。

 不運も力に変え、たくましさを増した。14日ロッテ戦。2番手で登板も右肩前方の張りを訴え緊急降板した。大事には至らなかったが、チームにとって貴重な中継ぎを1枚消費する形になった。「ちょっと肩が軽すぎた。いつもより意識して小さいフォームで投げようと思った」。旭川では先発した昨年6月3日DeNA戦に続き、2年連続の勝ち投手。戦列に戻った右腕が、大きく頼もしい姿を見せた。【田中彩友美】