<阪神3-1中日>◇20日◇京セラドーム大阪

 悪夢のポロリ負けだ。同点の7回2死満塁。中日又吉克樹投手(23)が上本を中堅方向へのフライに打ち取り、誰もが3アウトチェンジと確信した。この時、中堅に寄っていた左翼藤井淳志外野手(33)も「オーライ」のジェスチャーで突進。捕球態勢の中堅大島洋平外野手(28)と交錯し、白球は大島のグラブから転がり落ちた。この間に決勝の2者が生還。高校野球でもめったに見られないまさかまさかのプレーに、谷繁元信兼任監督(43)もあぜんぼうぜんだ。

 「(大きな)声を出してないんだろうけどあれを落とすのは…。どうなんですかね…。どんな形であれ捕らなきゃいけない打球。競った試合はミス1つで決まってしまう」

 試合後、上田外野守備走塁コーチは当事者だけでなく外野全員を集め緊急ミーティング。声を荒らげた。

 「声を出したと言っても大歓声で相手に伝わってない。(飛球は)センター中心の決め事もあるけど、レフトが捕るなら、(激しく)ゼスチャーすればいい。どっちかが任せろ!

 どけ!

 とやればどくでしょ?

 両方悪い」

 ここ一番で痛恨の連係ミス。基本を怠った2人も唇をかむしかなかった。

 大島

 僕が悪い。前から言われていることなんで。

 藤井

 ああいう大歓声の中、もっとしっかり意思疎通しないといけなかった。

 好投浜田に黒星がついただけでなく、チームも2位阪神&首位巨人との正念場6連戦で連敗発進。借金は3に戻り、CS圏の3位広島から4・5ゲーム差と離された。遠のく上位の背中。余りに重く苦い教訓を胸に、3タテを阻止するしかない。【松井清員】