<ソフトバンク3-4日本ハム>◇27日◇ヤフオクドーム

 日本ハムの主砲、中田翔内野手(25)が、12試合ぶりの1発で4連勝に大きく貢献した。1点リードの3回、天敵のソフトバンク摂津からバックスクリーンに豪快な23号2ラン。中押しの一撃で打線を活気づけた。リードを守りきったチームは、今季最多タイの貯金4とした。

 背負う思いを、ドでかい放物線に込めた。中田が剛腕に、気力をみなぎらせた。3回2死一塁。天敵のソフトバンク先発摂津を迎えた。今季は10打数1安打。初球。直球138キロを振り抜いた。打球を中堅席ギリギリに突き刺した。23号2ラン。あんぐりと口を開けて、ぼうぜんとする摂津へ12年以来、2本目のアーチをお見舞いした。「初球から追い込まれる前に、どんどん狙っていかなきゃいけない投手だからね」。貪欲に強気に攻め立て、難攻不落の牙城を崩した。

 リフレッシュが現状打破につながった。25日の札幌から福岡への移動休み。福岡で行きつけの美容室でヘアスタイルを戦闘モードにチェンジした。サイドを大胆に刈り上げたモヒカン風。好きな色の1つ、赤が基調の茶色に染め上げ闘争心を高めた。「ここ何試合、自分のやらなきゃいけない仕事が出来ていない」。12日ロッテ戦を最後に本塁打が出ていなかった。求められる役割を果たせず、チームが勝っても消化不良の日々が続いていた。「投手が良いからじゃないかな」と復調の要因をジョーク交じりに話すほど、心の余裕が生まれた。12試合ぶりの1発は不振を抜け出す光になった。

 待望のアーチで希望を見せた。20日未明に出身地の広島で大規模な土砂災害が発生。実家から、程近い場所で起こった。少年時代には訪れたこともある場所で多くの被害者が苦しんでいる。現状の自分を見つめて焦燥感に駆られた。「人ごとではないけど、だからといってできることも…。プレーで勇気づけられたら」。故郷への恩返しへ使命感を燃やした。

 2日がかりの「平成のON」で首位ソフトバンクを撃破した。前夜は大谷が5戦ぶり10勝目で勝利をもたらした。この日は中田が白星をつなげて貯金は今季最多タイの4。栗山監督は「翔の本塁打で落ち着いた。1つ1つの試合が重くなる中で、主役と言われる人が何とかしないといけない」と仕事ぶりを称賛した。奇跡的な巻き返しへ、主砲の一撃で望みをつなげた。【田中彩友美】

 ▼日本ハム中田が23号アーチを放ち、ソフトバンク戦は今季6本目。スタンリッジ、寺原、東浜、帆足、中田に続き摂津から記録。今季の球団別本塁打では5本でオリックス、楽天と並んでいたが最多となった。通算では楽天戦の24本が最多で、ソフトバンク戦は2番目に多い18本塁打。最少は中日戦の1本。