<巨人4-0阪神>◇28日◇東京ドーム

 スパイクの土を落としながら、阪神藤浪晋太郎投手(20)は大きく息を吐いた。2回2死一塁、打席に9番沢村。1ボールからの2球目だった。高めに入った154キロは、鋭い打球となって左中間にはずんだ。適時二塁打で2点目を献上。回り続けるオレンジ色のタオルに、虎党のため息がかき消された。

 「あそこをしっかり抑えられたら…。もったいなかったです。それがすべて」

 動揺があったか、その後も流れを止められない。1番橋本に中前打でつながれると、片岡に中前適時打、3番坂本にも左前適時打を浴び4連打を食らった。さらに阿部に死球で満塁。走塁死でなんとかイニングを終えたが、2回までで6安打4失点。沢村への1球で、勝敗は決していた。

 2回に投じた26球のうち、空振りは1球もなかった。ボールは高かったが、配球も読まれたように打ち返された。3回からはノーワインドアップからワインドアップ気味にフォームを微修正しゼロを並べた。中西投手コーチは「いろいろあった。タイミングだったり」と明かした。結局5回7安打4失点で降板。自身3連敗で7敗目。打線も沢村を打ち崩せなかったが、藤浪の乱調が自力優勝消滅に直結してしまった。

 「序盤にあまりにも失点しすぎた。そこが反省。単なる技術不足です」

 1回には、先頭橋本にソロを浴び、プロ初の先頭打者弾を被弾していた。これで4試合連続で初回に失点。9月には甲子園で最後の巨人3連戦がある。中西コーチは起用の明言を避けたが、藤浪が実力を発揮してもらわねば、悲願のVは遠のいてしまう。【池本泰尚】