<日本ハム4-3ロッテ>◇30日◇東京ドーム

 今季初対戦から6連敗を喫したロッテに、スーパー逆襲。日本ハムが7月5日からの連勝をついに10まで伸ばした。栗山英樹監督(53)は「それは気にしていない。考えてもいない」と理路整然と因果関係を否定したがまた勝った。大谷が無安打、ポイントゲッターの1人の陽岱鋼も快音なし。先発は今季わずか1勝の吉川だった。想定外、不安だらけの一戦も、1点差逃げ切りで打ち破った。

 1回に1点のビハインドを背負うも、その裏。唐川-田村の若手バッテリーを大胆に乱した。新リードオフマン西川が四球。1球けん制を入れられたが、次打者中島の初球で二盗成功。犠打で1死三塁とし、2死後に中田が左前同点打。「うちらしい野球」と、あっさり振り出しに戻すと2、3回は2死から1点ずつ加点し、流れを引き寄せた。

 「野球ってさ、『面』がある。チームもどんどん『面』が変わるからさ」。開幕前の構想が狂いながらも、指揮官は布陣を描き直してきた。シンボルがこの日3盗塁の西川。正二塁手に固定する腹づもりだったが、右翼へと配置した。8月だけで月間15盗塁。リーグトップ独走の36盗塁。駒を操縦し直して機動力をチームに注入し、得点力を上げた。2日連続猛打賞に西川は「奇跡に近い。(好調の要因は)やっていることを続けてやっているだけ」と話した。

 上位2強の背中はまだ遠いが、栗山監督の頭はミラクル劇を練っていた。口に出そうとして「計算はいいや。何でもない」と胸の内にしまい、不敵に笑った。日本ハムが台風の目になるムードが、少し漂ってきた。【高山通史】

 ▼日本ハムがロッテに7月5日の10回戦から10連勝。日本ハムの同一カード10連勝以上は、06年楽天戦の11連勝に次いで球団史上2度目。