<阪神1-4ヤクルト>◇30日◇甲子園

 こりゃヤバいで…。阪神が最下位ヤクルトに完敗し、7月12日以来となる3位に転落した。初回、大和外野手(26)のけん制死、6回は伊藤隼太外野手(25)、マット・マートン外野手(32)の拙守で勢いをそがれてミスミス負けだ。長期ロードから聖地に戻っての10点大勝から一転、淡泊な敗戦にがっくり。ここから逆転優勝できるのか。夏休み最後の夜をスカッと飾ってくれ!

 イス取りゲームは大変だ。虎が安住の地から動いた。真夏に48日間もいた「2位」から、こともあろうか「3位」へどっこいしょ…。何度も目の前にあった「1位」ではなく、ありがたくない方を選んでしまった。好調広島にまくられて、ついに7月12日以来の3位転落。攻撃を問われた指揮官は、敗因を拙守へ求めた。

 和田監督

 6回だよな、6回。6回表を抑えて、これからいこうという時のあの守備はな…。普通のライトフライだからね。あれを捕ってやらないと投手がかわいそう。経験を積んで、守る度にうまくなって欲しいんだけど。

 ベンチが苦虫をかみつぶしたのは、グラウンド整備の直後だった。先頭川端の右中間への飛球を伊藤隼は後方へ走って追い付いた。客席の安堵(あんど)が悲鳴へと変わる。グラブをかすめるようにして白球が落ち、二塁打となった。好守は勢いを生み、拙守は勢いをそぐ。中堅で犯した16日DeNA戦と同じようなミスが3点目へつながった。

 拙攻も響いた。先制した2回は、効率悪く4安打で1点だけ。4回も1死から連打も伊藤隼と梅野が凡退した。逆に5回以降はわずか1安打。淡泊な攻めで二塁も踏めなくなり、最後は3者連続三振…。

 大事なペナント終盤、まさか集中力を欠いたはずもないだろうが、痛いミスが目立ってしまった。1回は2死で一塁走者大和がけん制死。6回の守りでは、マートンが中途半端な返球で余計な進塁を許した。これでは虎党の期待感は不安感に変わってしまう。

 和田監督

 風がいつもと違っていたけど、甲子園は秋口になるといろんな方向から風が吹くようになる。何とか我慢の8月、とにかく踏ん張って、しのいで、というところだな。苦しいけど、明日いきます!

 甲子園では前夜、28日ぶりに戦ったばかりだった。ピンチで降雨コールド勝ちした「恵みの雨」も、連勝へつなげられなかった。季節の移ろいは早い。気付けば吹いていた気まぐれな秋風を3年目伊藤隼はまだつかめていなかった。夏休み最後の週末に若虎は宿題を残した。残り27試合、最高のイスは最後に座ればいい。この経験を糧にできる機会は、きっと来る。【近間康隆】