<日本ハム4-3ロッテ>◇30日◇東京ドーム

 開幕投手を務めた日本ハム吉川光夫投手(26)が、今季2勝目を手にした。1回に先制点を許し、2回以降は毎回走者を背負ったが粘った。6回には1点差に迫られる2ランを献上も、打線の援護を守りきった。7回1/3を6安打3失点。5月1日西武戦以来、6試合ぶりの白星を挙げた。2度の2軍降格を経て、ポストシーズンに向け左腕エースが帰ってきた。

 真っ赤に染まった顔が奮闘の証しだった。遠ざかっていた2勝目を、吉川が手にした。「後悔なく、いこうと思った」。誓いは報われた。1回に先制点を許した。2回以降も毎回走者を背負ったが、踏ん張った。7回1/3、6安打3失点。苦しみながら最後は笑顔で迎えられた。「しっかり投げられない試合が続いたので、うれしく思います」。5月1日西武戦以来、6試合ぶりの白星。お立ち台で、火照った体いっぱいに歓喜の声を浴びた。

 心を解きほぐすことに専念した。今季は不振で2度の2軍降格。以前から人一倍の練習量をこなし、追い込んできたが、再度見つめ直した。見守ってきた中垣トレーニングコーチは「それ以上、やらなくてもいいってくらい練習する。最初は使命感があったと思う」。12年はパ・リーグMVP。今季は開幕投手を務めたが、5月7日の時点で防御率6点台。同13日の2度目の降格後は約3週間のノースロー調整。投球練習を再開したのは降格から約1カ月後の6月6日だった。

 戦列復帰を静かに見据えてきた。復調の兆しを探して、野球と距離を置くことを決めた。練習の空き時間は趣味の読書に没頭。少年マンガや推理小説などジャンル問わず10冊以上を読みふけった。練習休日には2週間に1度、札幌の自宅へ帰り家族と過ごした。「気持ちの面では吹っ切れたと思う」。約2カ月半の2軍生活。まっさらな状態から、ゆっくりと心身を整えていった。

 今月1日から復帰5試合目でつかんだ2勝目。「こういう風に投げられて自信になった」。試練を乗り越え、力強く再出発への道を切り開いた。【田中彩友美】