<日本ハム1-2ソフトバンク>◇10日◇東京ドーム

 4番が仕事をした。ソフトバンク李大浩内野手(32)が決勝打だ。1-1の7回2死一、二塁で勝ち越しの適時二塁打を放った。この試合初めて巡ってきた得点圏に走者を置いた打席できっちり決め、1回の中前打と合わせてマルチ安打。連敗を2で止めて、残り16試合。2位オリックスと4差で、最短のマジック点灯は13日となった。

 李大浩のバットを離れた打球は左中間フェンスまで白い線を引いた。ズドンという衝突音、歓声、悲鳴の重奏をBGMに中村が決勝のホームを駆けた。二塁ベースでは殊勲の大男が誇らしげに笑っていた。「うれしかった。大事なところで打てて。盛り上がったし、ベンチを見てホッとした」

 先制を許すも松田のソロで同点。1-1で迎えた7回2死一、二塁だった。ここで木佐貫からバトンを受けた谷元の3球目、甘く入ったスライダーを李大浩は完璧に仕留めた。ライナーでフェンスにぶつける適時二塁打。「正直チャンスで打席に入った方がおいしい。打てないと言われるけどね」。直前に内川が敬遠気味の四球。リーグ併殺王で、得点圏打率リーグワースト2位と数字は出てなくても「自分にくるだろうと思っていた」と前向きになれた。実は、ちょっとしたスパイスが効いていた。

 試合前。打撃ケージ裏で秋山監督と打撃コーチから助言を受けた。内角を意識するあまりヘッドが遠回りするスイングになっていた。「打ちたい気持ちが強くてスイングが大きくなりバランスが崩れていた。分かっていたけど、できなかった。監督の技術指導のおかげ」。優勝争いの佳境に入っても、各選手がレベル向上へ汗を流している。韓国の3冠王であっても関係ない。甘えず、練習する。常勝をめざすチームに息づく流れに自分も乗った。

 もうつらい思いは勘弁だ。「優勝するため」と故郷の韓国・釜山を離れ、日本での挑戦を選んだオリックス時代。チームが低迷し、当時の岡田監督が解任された。李大浩は監督室のドアをノックし、力を出せなかったと頭を下げた。「次の日も試合はあったので泣くのは我慢しました」というが、大男の目に浮かぶ涙を目撃されている。ソフトバンク入りを決断したのは頂を見るためだ。どうせなら秋山監督と喜びの涙を流したい。助言を生かし、当てにいかず、きれいなレベルスイングでまた1歩、来日当初の目標に近づいた。

 2位と4ゲーム差のままでマジック点灯は持ち越し。まだまだ緊張感あふれるゲームは続く。「優勝目指すチームとしていいところにいる。緊張するのは2位、3位のチーム。いかに楽しむか。緊張するといい結果は出ない。どう楽しむか」。そう心構えを語った李大浩の顔をよく見ると、目尻を下げるいつもの柔和さが浮かんでいた。【押谷謙爾】

 ▼ソフトバンクの優勝マジックは最短13日に10がつく。ソフトバンクが○○か○△、オリックス●●が条件。