<ヤクルト3-4DeNA>◇7日◇神宮

 この日は今季限りで退任するヤクルト小川淳司監督(57)のラスト采配だったが、失策による逆転負けを喫した。だが、山田哲人内野手(22)が193安打目を放って日本選手の右打者の最多安打記録をさらに更新し、最多安打のタイトルも獲得した。

 小川監督の最後の言葉を、山田はかみしめて聞いていた。「今年成長した選手たちが必ず強いスワローズを築き上げ、優勝へ導いてくれると信じています。監督として4年…」と涙で声を詰まらせ「結果を出すことができませんでした」と悔しさを絞り出す姿を見つめた。山田は「涙が出そうになった。うるっときました」と目を伏せた。ドラフトでくじを引き当ててくれた恩人の最終戦を白星で飾れず、笑顔はなかった。

 だが、花は添えた。8回に193安打目となる中前打を放ち、6日に樹立した日本選手の右打者の最多安打記録をさらに更新した。「1本打てて良かった」。せめてもの恩返しだった。

 それでも、新記録達成は通過点に過ぎない。最終戦を前に「できれば本塁打を1本打ちたい。8安打を打ちたいし、15盗塁したい」と言った。3割30本塁打30盗塁、「トリプルスリー」の願望だった。この試合が最終戦だけに、現実的に不可能だと分かっていた。だが、満足せずに1本でも多く打たなければ来季につながらないと自覚しているからこそ、高い数字が口をついて出た。3打数無安打で迎えた4打席目に安打を打って今季を終えたことは、山田の成長の証しだった。

 小川監督からは「スワローズを背負って立つ選手になっていかないといけない。来年以降、強いスワローズを引っ張るには彼の存在が必要」と未来を託された。「今年は自分のことで精いっぱいだった。来年は余裕ができれば、チームのことを考えていきたい」。受け継いだ思いを胸に、真価が問われる来季へと向かう。【浜本卓也】