和田阪神が歴史を変える。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージが、今日11日に始まる。2位阪神は昨年同様に3位広島を甲子園に迎える。和田豊監督(52)は10日、坂井オーナーから来季の続投要請を受け、快諾した。甲子園で過去2度のCSは4戦全敗。去就問題にけりをつけて「無の境地」で初のCS突破へ挑む。

 晴れやかだった。甲子園の青空に負けないくらい、和田監督の表情は澄み切っていた。いよいよ始まる日本一への戦い。2連敗で終戦した1年前と同じ相手、同じ球場になった。「リベンジ」へ燃える炎はあえて消した。無心を強調した。2時間の最終調整を終えると、柔らかな笑みを浮かべながら力みを隠した。

 和田監督

 無の境地というか、重いものはまったくありませんね。昨年のこともあるけど、今年は今年ということで、まっさらな気持ちで試合に臨みたい。本拠地でやるわけですから、ぶざまな試合はできない。何とかというより絶対勝ち越して、次のステージに進みたいと思います。

 決戦前にスッキリした。練習開始の5分前に一塁側ベンチ裏の一室へ入った。待っていた坂井オーナーと15分間の会談。「来季もチームをよろしく頼みます」。「やらせていただきます。よろしくお願いします」。契約最終3年目の指揮官は続投要請を快諾した。8月下旬に続投方針が明らかになってから1カ月半。一時は白紙になるなど、グラウンド外が騒がしかった。戦いに集中できる環境が、やっと整った。

 和田監督

 ある意味、覚悟を持って臨んだシーズンだし、優勝を逃した責任は感じている。自分ももう1度という気持ちになっているし、来年は必ず優勝してくれという言葉もいただいた。まだその前にやるべきことがある。そっちに集中したい。今日からが新たな1歩というかね。

 打倒広島はメッセ、能見、藤浪の「3本柱」に託す。シーズン最後に5連投させた守護神呉昇桓(オ・スンファン)も惜しげもなく投入していく。西岡も「三塁」でスタメン復帰させる。悲願であるCS突破へ、できる手はすべて打つ。

 昨年と10年は甲子園で勝てないまま終わった。開場90周年の誇れる本拠地で、負の歴史を繰り返すわけにはいかない。「三度目の正直」で短期決戦に弱いというレッテルは捨てる。「東京ドームでもう1度ジャイアンツと勝負できるように」。タテジマ31年目が決まった虎将の本音が、最後にこぼれた。【近間康隆】