異例の1万スイング締めだ。来季プロ20年目の区切りを迎える中日荒木雅博内野手(37)が最後までバットを握り続けた。年内ラストの練習となった25日もマシン相手に500スイング。12月のスイング数は1万を超えた。

 誰もいないナゴヤ球場の室内練習場に打球音が響いた。大粒の汗を流しているのは、若手ではなく37歳のベテラン。12月はバットを握らない選手も多いなか、ナゴヤ球場に通い詰めて1日1時間以上もマシンに向かった。

 「楽しいからです。初めてバッティングセンターに行ったときのような気分。今までコーチに言われてきたことがやっと分かった。19年目で何言ってんだって言われるけど」

 最初は素振りだけの予定が、バットを振るうちに、新たな感覚が芽生えた。詳細を明かさなかったが、つかみかけた手応えを確実にするために、ボールを打った。例年とは違う年末を過ごして、今年の練習はこの日で打ち上げ。「結果どうなるか楽しみ」と充実の表情だ。

 年明けも打撃を突き詰める。大島、平田らを率いて行っていた恒例の熊本自主トレもひとまず「休部」。1月も名古屋で練習に没頭する。超一流の証しである2000安打まで残り163本。新境地で勝負の年を迎える。【桝井聡】