ソフトバンク大隣憲司投手(30)が17日、沖縄県うるま市内で自主トレを公開した。自身初の開幕投手に意欲を燃やす左腕は、秘策を用意。それは「工藤カーブ」。工藤公康監督(51)の魔球を春季キャンプで習得し、投球の幅を広げるプランだ。難病から復活を果たした大隣が先発陣の柱を目指す。

 復活のシーズンを終え、大隣はステージアップを考えていた。松坂が加入し、先発ローテーション争いは激しくなる。1年間、先発として働くためには…。その答えは、同じ左腕の大先輩にあった。

 「配球や緩急を考えれば、カーブが必要になってくる。有効的に使えるボールにしていかないと。どういう風に使うのか聞いてみたい。握り方にしても」

 新たに就任した工藤監督に教えを請う決意を固めた。

 通算224勝を挙げた名サウスポーは落差の大きいカーブが武器だった。指揮官の代名詞とも言える球種だ。今後はプロ実働29年で培った経験を選手に聞かれれば、惜しみなく伝授することを宣言している。春季キャンプで大隣は迷わず弟子入りする。

 「カーブが105キロぐらいになれば、緩急がつく。カウントを稼ぐ球、勝負球のどちらでも使える。自信を持って、投げられるようになれば、投球に幅ができてくる。聞いてみたい」

 大隣は140キロ台の直球にスライダー、チェンジアップが中心。カーブの球速は112~3キロで、105キロまで減速させることでキレのある直球が生きてくる。

 昨年は国指定の難病、黄色靱帯(じんたい)骨化症を克服し、シーズンで3勝を挙げ、CSや日本シリーズでも活躍した。

 「今年に入ってからは、病気からの復活という言葉は自分の中でなくす。開幕からローテーションに入るのは最低限の目標。順調にメニューをこなせている」

 難病克服は過去の話。1人の投手として、いかに飛躍するかしか頭にない。自身初の開幕投手にも意欲を燃やす。

 「できるものなら、誰もやりたい。決まっているわけでもないと思うので、目標としてやっていきたい」

 指揮官直伝の魔球カーブを武器に、誰よりも早く先発のマウンドに上がる。【田口真一郎】