<東都大学野球:亜大3-2青学大>◇第1週第1日◇7日◇神宮

 「トルネード九里」が、5季連続優勝へ、2失点完投スタートを切った。史上3校目の5連覇に挑む亜大は、フォームを改造したドラフト候補の九里亜蓮投手(4年=岡山理大付)が9安打7奪三振で130球を投げ抜き、青学大に先勝した。

 たくましい腕で振りかぶり、クルリと体をひねって、背番号「19」を打者に向ける。ため込んだパワーをボールに込めるように、こん身の力で腕を振った。九里が、かつて近鉄やドジャースで活躍した野茂英雄氏の代名詞「トルネード投法」に変身して、大学ラストシーズンに現れた。

 フォームを変えたのは、約2週間前。開幕直前のかけだったが「現状維持ではダメ。常に良くなりたい。勇気というより、自分の中では挑戦です」と言った。186センチ、90キロの堂々の体格を生かす最善の策を模索。「球威を上げるより、強くて重いボールを投げたい」と理想を掲げた。

 酷暑の夏。野茂氏の映像をユーチューブで何度も再生し、試行錯誤を繰り返した。体重は4キロ増やし、土台をつくった。新フォームのデビュー戦は、9安打7奪三振。「良くなかったです。納得のいくボールは1球だけ」と言う。3回1死から三振を奪った、142キロの外角低め直球が追い求めたボールだった。

 それでも2失点で粘り、勝ち切った。トルネード投法を進言した生田勉監督(47)は「完投したことは自信になる」と期待を込めた。今夏、大学日本代表から漏れた悔しさも、飛躍を期すきっかけになった。悩み、苦しみ、たどり着いたトルネードで、ラストシーズンを勝負する。【前田祐輔】