旭川大高のエースとして09年夏の甲子園に出場した柿田竜吾投手(国学院大4年)が、来年4月から社会人野球のJR東海入りすることが1日、内定した。柿田は左腕から繰り出す多彩な変化球が持ち味。チームメートでドラフト上位候補の杉浦稔大投手(4年=帯広大谷)と切磋琢磨(せっさたくま)しながら成長し、今年から先発に定着した。来春からは1つ上の舞台で力を発揮する。

 柿田が新たなステージに思いをはせた。JR東海は都市対抗に今年で3年連続25度出場の強豪だ。旭川大高のエースとして09年夏の甲子園に出場し、「戦国」と言われる東都の国学院大で力をつけてきた。「レベルが1つ上がって気は抜けないなと思う。(社会人野球の東海地区は)激戦区だし」と緊張気味に話した。

 大好きな野球を続けられる喜びに満ちあふれている。8月5日、チーム練習に初参加した。「雰囲気が良くて、野球に集中できる環境だった」と好印象を持った。紅白戦に登板し、2回1安打3三振で無失点に抑え、自信をつけて帰京した。JR東海の青山真也監督(38)は「厳しい東都で2枚看板として頑張っている。変化球をうまく使うので、即戦力として期待している」と歓迎する。

 身近なライバルに刺激を受けてきた。高校3年夏の北北海道大会決勝で甲子園切符を争い投げ合った杉浦は、ドラフト候補にまで成長した。「最初は意識していた。悔しい気持ちもあったけど、いつか一緒に投げられればと思って練習した」。最終学年になり、柿田にも結果が出るようになった。春は杉浦が右足首捻挫で欠く中、その穴を埋めて先発で4勝。今秋も初完封勝利を含めここまで2勝を挙げ、2人で先発ローテを回し、チームをけん引している。「最後のリーグ戦。制球力で勝負したい。頂点を目指す」と杉浦とともに、念願の優勝を目指している。

 周囲の期待を背負う。的を絞りにくい多彩な変化球と粘り強い投球が持ち味。国学院大の鳥山泰孝監督(38)は「そこが評価されたのでは。球の質などを高めれば、何年後かにプロ入りの可能性もある」とエールを送った。柿田は「社会人で結果が残せたら、もっと上(プロ)を目指してもいいのかなとは思ってる。けど、まずはしっかりチームの勝利に貢献できるように頑張りたい」と新天地での戦いに気を引き締めた。

 ◆柿田竜吾(かきた・りゅうご)1992年(平4)1月4日、日高町生まれ。日高富川小6年の時に富川野球スポーツ少年団で野球を始める。日高富川中でも投手。旭川大高では1年夏からベンチ入りし、2年秋から背番号1。北北海道大会で優勝した3年夏は旭川地区予選から7試合で計60回を投げ、投球回を上回る88奪三振をマーク。国学院大では3年春に初登板。4年春は4勝1敗。左投げ左打ち。家族は両親。181センチ、75キロ。

 ◆JR東海硬式野球部

 1921年(大10)創部。本拠地は愛知・名古屋市。都市対抗は25度出場し、3年連続となった今年は、初戦で日立製作所(日立市)に1-2で惜敗した。今年の日本選手権は2年連続12度目の出場が決まっている。過去最高成績は都市対抗が準優勝2度(29、30年)、日本選手権が準優勝1度(08年)。現役プロ野球選手にオリックス中山慎也投手、ロッテ伊藤義弘投手らがいる。