鷹の一番星、城島2世が本家超えを誓った。ソフトバンクのドラフト1位指名、習志野・山下斐紹(あやつぐ)捕手(17)が29日、高校で球団から指名あいさつを受け、夢の大リーグ挑戦について「(城島のメジャー挑戦にかかったプロ入り後11年目オフより)1年でも早く行きたい」と宣言した。強心臓捕手らしく、いきなりの大胆発言で、プロへの第1歩を踏み出した。

 プロ入りの夢が実現した一夜明け。高校生NO・1捕手、山下のもう1つの夢が動き出した。高校で永山スカウト部長補佐、宮田スカウト部長補佐、笹川スカウトの3人から指名あいさつを受けた。直後の会見ではっきりと言った。

 「1日でも早く1軍のレギュラーをとって、いち早くメジャーに行きたい」。

 ホークスからは05年オフに城島がメジャー挑戦に踏み切った。当時中1だった山下も大リーグの舞台に引き込まれた。その後、捕手を守るようになり「城島さんの次はボクと思った」。周囲には大胆と思える発言も、山下には自然の流れだったかもしれない。

 前夜からこの日まで祝福の連絡は100件以上を数えた。だが、何とも刺激的な「早くメジャー」コメントは、浮かれることなく将来の夢を見据えている裏返しでもある。高校球界で名をはせてもプロ入り後すぐに1軍で通用するとは思っていない。「まず体を作らないといけない。これからも毎日練習していく」と地道な努力も誓った。

 さらに来春の目標に「投手全員の球を受けてみたい」とぶち上げた。杉内、和田のWエースだけでなく、全投手のブルペン捕手を志願。キャッチング技術の向上や投手のよさを引き出すリードの勉強など学ぶべきことは多い。1日でも早く1軍昇格の道を切り開くべく、道標を打ち立てたのだ。

 山下の発言を聞いた永山スカウト部長補佐はさすがに「(メジャー挑戦は)先の話で…」と苦笑い。ただ、城島超えを果たせる可能性を秘めているからこそ、最上位で指名した。「素晴らしい送球技術。打撃も成長できる。彼を逃したくなかった」。最大級の賛辞で、本家超えできる器であることを約束した。

 現実的には城島超えのメジャー挑戦は、限りなく厳しい。ダイエー時代に城島を2年間2軍で下積みさせたように、ソフトバンクも山下を2年ほど2軍出場させる方向。その後9年で海外FAを取得すると計算し、城島と同じプロ11年目に海を渡る権利を得る。それでも、山下は夢をあきらめない。欲しいタイトルは「新人王」。まずは城島の獲得できなかった栄冠を奪ってみせる。