WBA世界フライ級王者の井岡一翔(26=井岡)が「KO防衛」で強さを証明する。同級10位ロベルト・ドミンゴ・ソーサ(30)との初防衛戦は今日27日、エディオンアリーナ大阪でゴング。26日の前日計量はリミットの50・8キロで1発パス。日本人初の世界戦3階級でのKO勝利へ態勢を整えた。

 計量を終えた井岡が、ソーサと至近距離でにらみ合った。表情を変えず、先に目線を外した王者は「本番は明日。リングの上で僕の怖さ、強さを思い知らせたい」と闘志を高めた。

 挑戦者に、力の差を見せつける。狙うは、日本選手では初となる世界戦3階級すべてでのKO勝利だ。「やっぱり自分が思い描く内容でKOできれば手応えもあるし、うれしい。応援してくれる方も喜んでもらえる。KOできるように、頑張ります」。3階級制覇を達成した4月のレベコ戦は判定だっただけに、今回はよりKOへの意欲が強い。

 秘策は、サイドに動いてのボディー攻撃だ。プロ初黒星を喫した昨年5月以降、前傾姿勢を深めにしてスタンスも若干広くした。「上体を反って防御をしやすく、足も前後左右に動きやすい」と父一法会長。そのステップワークで敵の脇腹に必殺の一撃を打ち込む。

 勝てば、年末の次戦に前王者レベコとの再戦も含めた防衛戦をこなし、来春にも他団体王者との統一戦に動く構え。今日27日は祖母ミツ子さんの71歳の誕生日でもある。「タイトルを手放すつもりはない。この階級の真の王者になりたい」。負けられない井岡が、力を込めた。【木村有三】

 ◆世界戦3階級でのKO 日本人の世界3階級制覇は亀田興毅と井岡一翔の2人。亀田は、WBAバンタム級戦で9勝中2度のKO勝ちも、WBAライトフライ級戦(2勝)とWBCフライ級戦(1勝)はいずれも判定勝利。井岡は、WBCミニマム級戦(WBAとの統一戦含む)で4勝中2度、WBAライトフライ級戦4勝中3度のKO勝ちがあり、今回KOなら日本人初の世界戦3階級でのKO勝利となる。