元2階級王者の長谷川穂積(34=真正)が、逆転判定で再起戦2連勝を飾った。WBO世界スーパーフェザー級5位カルロス・ルイス(22=メキシコ)に3、5回に計2度のダウンを奪われたが、不屈の闘志でポイントを稼ぎ、3-0の逆転判定勝ち。来春にも計画する世界再挑戦へ課題を残したが、熟練の技を披露した。長谷川の戦績は40戦35勝(15KO)5敗。

 長谷川が、命拾いした。2度ダウンを奪われながら、最終10回まで懸命に粘り抜いた。巧みなフェイントと、根性のラッシュも見せた。ジャッジ3人の結果は、95-94、95-93、96-93の僅差判定勝ち。元2階級王者の総合力で、22歳の若き難敵を下した。

 「これが僕の実力。勝ったのは勝ったけど、思うような内容の試合はできなかった。自分の期待を裏切った」と長谷川。左まぶたの下が青ずんだ痛々しい姿ながら、はっきりした口調で苦闘を振り返った。

 1階級上のルイスに、まともに右ストレートを食らった。3回は何とか8カウントで立ち上がり、5回も必死の形相ではい上がった。プロ40戦目で最も重い相手のパンチは、予想以上だった。それでも長谷川は「ダウン以外は完勝。技術的にも最低限は納得している」と言いつつ「同じパンチで2度ダウンしたのは初めて。上の階級だし、正直パンチがありましたね」と苦笑した。

 再び世界へ挑む夢をつなげるためにも、負けられなかった。5月から本格的に筋連動トレーニングを導入。「尻の皮がズルむけになった」というほど激しく自転車をこぎ、休む間もなく横や前後のジャンプを繰り返した。最初はわずか1分で足が痛み、よろめいたが、最近は5セット計15分をこなす。指導する早川怜トレーナー(34)は「体の回復力は当初の2倍になった。脂肪量は減って筋肉量は約5キロ増えた」。逆転できた裏には、厳しい鍛錬があった。

 陣営は海外開催も視野に入れ、早ければ来春の世界戦実現へと動く。「遊ぶ試合をしている暇はない。前向きに考えていく」と山下会長。「スーパーフェザーはもういい」と長谷川が言うように、照準はフェザー級だ。適正階級でもう1度世界へ挑む。【木村有三】

 ◆長谷川穂積(はせがわ・ほづみ)1980年(昭55)12月16日、兵庫・西脇市生まれ。99年11月にプロデビュー、05年4月に世界初挑戦でウィラポンを破ってWBCバンタム級王者となり、10度防衛。10年11月に2階級上げてWBCフェザー級王座を獲得し2階級制覇。身長168センチの左ボクサー。