ボクシングのWBA世界フライ級王者井岡一翔(27=井岡)が、念願の統一戦へ向けて“スタート”を強化する。2戦連続のKOで飾った3度目防衛戦から一夜明けた21日、大阪市内のジムで会見。陣営は、同級スーパー王者フアンフランシスコ・エストラダ(26=メキシコ)との大みそか決戦実現へ来週にも交渉を開始する。大一番に備え、井岡は試合序盤の戦い方を改善する考えを示した。

 2戦連続KO勝利の余韻は、もうなかった。井岡の目は、既に次を見据えていた。WBAから対戦指令が出ているスーパー王者エストラダとの頂上決戦。「決まればおもしろいと思う」。ほとんど傷のない顔で、力強く言い切った。

 陣営は、早くもエストラダ側に連絡を入れた。井岡の父一法会長は「メールは入れてます。来週、早速話し合いをしないと」。早々に交渉開始し、期限の8月20日までにまとめる考えだ。

 WBO同級王者でもあるエストラダは、33勝24KO2敗の実力者。過去最強の敵を破るため、井岡は試合序盤の改善に乗り出す。前夜のララ戦では接近戦を仕掛ける挑戦者に付き合い、前半は流れに乗れなかった。4回まで相手にフルマークをつけたジャッジもいた。その反省から「早いラウンドから自分のペースで試合できるようにしたい」。試合序盤から左ジャブで流れをつかむ“基本”を徹底する。

 親交あるプロ野球阪神の西岡内野手が左アキレス腱(けん)を断裂し「ショックです」と顔をゆがめた井岡だが、統一戦の話題には終始目を鋭くした。「この階級で最強を示したい」。鍛錬を続けて、決戦の時を待つ。【木村有三】