WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃(33=帝拳)が、新コンビネーションの右で勝つ。10日のダブル世界戦の調印式が8日、都内のホテルで行われた。西岡は3度目の防衛戦で同級5位イバン・エルナンデス(26=メキシコ)を迎え撃つ。侮れない相手に130回のスパーリングで対策を準備してきた。それが左ボディから右フックのコンビネーション。攻め込まれた時に反撃するまさに「防衛策」。得意の左に右も加え、ベルト死守へ万全の構えだ。

 西岡は気合を示す真っ赤なウエアで調印式に臨んだ。「勝つことを確信している。自分の力のすべてを出し切って、すばらしい試合をお見せします」。みなぎる自信が、笑顔と抱負に表れていた。

 前回は本場メキシコで逆転KO防衛を果たした。入場券も2日で完売。大きな期待の中での一戦となるが「そう簡単に崩せる相手ではない」と浜田代表は話す。相手は日本未公認で2階級下とはいえ、元WBO世界王者。陣営にも油断はない。対策は練ってきた。それが右だった。

 特に磨いてきたのが右フックだ。攻め込まれることも想定。ロープに詰まっても、左ボディーで崩してからの右フックで一気に反撃できる。左ボディは王座獲得のナパーポン戦で効果を示した。そこへ畳み掛ける右フック。西岡は「右もフィニッシュブローになるように」と話してきた。その成果がこのコンビネーションだった。

 メキシコから25万ドルでメーンイベンターのオファーが届いたほど。鮮烈KOで必殺の左は世界に知れ渡った。いかに左をかわすか、相手も最大の警戒をしている。そのために今回は130回のスパーリングで右にも磨きをかけてきた。スパーではあえて攻め込ませ、何度もダウン寸前に追い込んだ。メキシコから呼んだパートナーを途中で2人から4人に増強したほど。葛西トレーナーも「あの右は強烈。狙い通りに仕上がった。絶好調だけに、使う間がないかもしれませんが」と話す。

 グローブは拳の部分が薄く、パンチの衝撃が大きいとされるメキシコ製を使用する。調印式後には人気漫画「あしたのジョー」の作画者ちばてつや氏から、直筆イラストを贈られた。あとは結果を出して、期待に応えるだけだ。