<魔裟斗激白(上)>

 大みそかの「Dynamite!!」でアンディ・サワー(27=オランダ)との引退試合を行うK-1の魔裟斗(30=シルバーウルフ)が11日、都内で本紙の単独インタビューに応じた。北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト石井慧(22=アイダッシュ)の総合格闘技デビュー戦と引退試合が重なったことについて初めて言及。石井-吉田秀彦(40=吉田道場)戦を歓迎する一方、「試合内容はレベルが違う」と格の違いを見せつける構えだ。

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 MAXで、過去2度敗れている宿敵サワーとの一戦を20日後に控えたこの日、魔裟斗が激白した。「Dynamite!!」ではDREAMと戦極との対抗戦が決定。石井が総合格闘技デビュー戦で吉田と対戦する五輪金メダリスト対決も行われる。

 魔裟斗

 全然、いいんじゃないですか。一緒の会場で、石井選手がどんな試合するか見たい人も多いだろうし、それが同じ会場で見られるんだったらお得じゃないですか。オレがファンだったら、同じ会場で見たいですよ。金メダリストなので、あおりはオレの引退試合と石井のデビューで、ありだと思う。

 五輪金メダリストで総合格闘技界の未来を担う逸材に敬意を表す一方、K-1中量級のトップに君臨し、10年間も支えてきたプライドものぞかせた。

 魔裟斗

 彼は金メダリストですから。そりゃすごいことですよ、金メダルって。ただ、試合の内容を見たら、どっちが面白いかは明らかって自信はあります。まず、体を見てほしい。まず、ルックスから(笑い)。内容だけで見ると、全然違うよって。レベルが違いますから。オレが、K-1チャンピオンが柔道に挑戦しますって言ったら話題になるかもしれない。だけど、それがすごいかって言ったらそうでもないでしょ?

 そういう事です。2年間ぐらいオレが柔道を一生懸命練習したってね、それはたかが知れてますよ。

 サワー戦に向け、10月から約100回のスパーを敢行。ルールが3分3回から3分5回に変更後、3回と2回に分け、2人のパートナーに相手をしてもらうなど万全な準備をしている。魔裟斗の集大成は、あくまでサワー打倒での引退だった。

 魔裟斗

 これはオレとサワーの戦いだから。オレが勝つことしか考えてない。はっきり言って、自己満足じゃないですか。2回も負けてるサワーと挑戦してるオレなんて。自分の納得のためで、見てもらいたくてじゃない。逆に向こう(石井-吉田戦)がメーンだっていいですよ。関係ないですよ。この前、夜のテレビ見てたら、みんなサワーが勝つって言ってる。昔は嫌だったけど、逆に面白いと楽しめちゃいますね。本当に負けると思ってないですから。

 都内ジムでの3ラウンドのスパーリングでは、鬼気迫る表情で、強烈なミドルキックを連発。約1時間半汗を流した。

 魔裟斗

 (優勝した去年のMAXより)スタミナ、パワーも上。今年、4年ぶりに筋トレ始めたけど、最初はベンチプレス60キロしか上がらなかったけど、昨日も、100キロ5本軽く上げましたから。3年前から800メートル走もやってます。1本2分40秒を3~5本。その後400メートルダッシュ。きついですけど、最後勝つためにやりますよ。負けず嫌いですから。力っていう意味では、あのときより上がってますよ。ぼくの今の体を見たらびっくりしますよ。今までで1番の体。すごい体してます。

 笑顔で練習を引き揚げる魔裟斗の姿は「最強で引退」の美学に向けた調整が、順調であることを物語っていた。【聞き手・構成=塩谷正人、浜本卓也】