WBC世界ライト級王座に挑戦する佐々木基樹(35=帝拳)が、将棋の「羽生流」集中力をヒントにしたトリッキーファイトで日本人最高齢(35歳7カ月)世界王座奪取を目指す。25日(日本時間26日)、メキシコ・コスメルで世界3階級を制覇した同級王者ウンベルト・ソト(31=メキシコ)に挑む。14日に都内の帝拳ジムで同門の亀海喜寛らと計6回のスパーリングを敢行。相手のリズムを崩すような意表を突くパンチを連発した。

 2度目の世界挑戦を前に、将棋の羽生善治名人(40)の本を通じ「集中力は『面白い』という瞬間に高まるからトリッキーに戦う。定跡通りでは独自性は出せない」という考え方に共感した。佐々木は「集中力を高めるには、いかに面白いものを出すか。トリッキーな戦いが集中力と独自性を出す」と、経験豊富で多彩な技術を持つ王者のペースを崩す狙いを明かした。

 コスメルは日本スーパーライト級王座から陥落した03年に旅行で訪問した思い出の地。8年前に再起を誓った場所での世界戦開催となり「良い巡り合わせだと前向きです。もしベルトを取れなかったら次はない」と引退覚悟で大一番に備えていた。【藤中栄二】

 ◆佐々木基樹(ささき・もとき)1975年(昭50)10月27日、東京・府中市生まれ。16歳からボクシングをはじめ、97年2月、佐藤晃一戦の2回KO勝利でプロデビュー。03年2月、日本スーパーライト級王座獲得。08年2月、東洋太平洋ウエルター級王座獲得。09年10月、WBA世界ウエルター級王者センチェンコ(ウクライナ)に挑戦も12回判定負け。10年7月、東洋太平洋スーパーライト級王座奪取。家族は両親と姉、妹。身長169センチの右ボクサーファイター。