総合格闘家・石井慧(25=レインジム)が危機感を胸に3度目の大みそか参戦を迎える。31日の「元気ですか!!大晦日!!」(さいたまスーパーアリーナ)でエメリヤーエンコ・ヒョードル(35=ロシア)とヘビー級ワンマッチでの激突を控え、米ロサンゼルスで最終調整中の石井が本紙のインタビューに応じた。北京五輪柔道男子100キロ超級で金メダルを獲得してから3年。旧PRIDE最強王者に体当たりで挑戦し、閉塞(へいそく)感漂う格闘技人生の起爆剤にする姿勢を示した。

 生活拠点を米国に移して以降、1年以上も通い続けるレインジムで、石井は最終調整に入った。21日にスパーリングを打ち上げ、今年2月から指導を受けるエド・バックレー・コーチ(44)と精力的なミット打ちで動きを確認している。

 石井

 こちらでコーチに見てもらい、密にコミュニケーション取らないといけないと分かった。英語は1週間だけ学校に通ったけれど練習に集中するために辞めた。日常会話やテレビを見て上達するもの。最近はエドに褒められました。

 柔道時代からヒョードルに憧れていた。PRIDEヘビー級王者の背中を追って総合格闘家に転向したといってもいい。

 石井

 ヒョードル戦とは柔道家で言えば現役時代の山下(泰裕)先生と対戦するようなもの。伝説の人との試合。1度会った時に「常に探求心を持って取り組め」と助言を受けた。素朴で良い人の印象でした。探求とは英語でクエスト。エドの所属先もチームクエストだし、今の自分は探求している感じなんです。

 ヒョードル戦は「まだ早い」との声もあったが、逃げたくなかったという。

 石井

 9月に「対戦があるかも」と聞いた。しかし自分と相手のタイミングもある。期待していなかったけれど11月にヒョードル陣営から「石井と大みそかに対戦する」と発言されて…。やらない、と言ったら逃げるみたいなので衝動的にブログで「ヒョードル選手と試合します」と書いてしまいました。

 ヒョードルとはキャリアで劣るが、面白いような気持ちの高ぶりがある。

 石井

 試合決定後は他の練習もやり過ぎた。本当の練習で疲れてしまい、怒られました。今も気持ちに焦りと高ぶりが入り乱れて興奮しています。

 北京五輪から3年が経過し、来年には次のロンドン五輪が控えている。

 石井

 尻に火がついてきました。今、結果に飢えています。「何をしているか?」と聞かれても「格闘家です」と素直に言えない自分がいる。それをヒョードルに勝つことで大声で言えるはずだと思う。

 19日に25歳になった。米国に引っ越し、既に1年以上が経過した。

 石井

 この1年間はあっという間。あっという間の四半世紀でもある。そういう意味ではヒョードル戦は良い時期。悔いだけは残したくない。良いものをみせないと生き残れない。

 飢餓感と危機感、そして強い決意を胸に石井が8カ月ぶりに帰国する。