WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(33=ワタナベ)が「刺客」との無敗対決を制し、世界に名前をアピールする。5月6日、東京・大田区総合体育館で同級10位ハイデル・パーラ(30=ベネズエラ)との7度目の防衛戦に臨むことが11日、発表された。世界王者を兄に持つ無敗のパーラとのV7戦で、実力差をみせつけて勝利すると宣言。同級で最強の呼び声高い同暫定王者ユリオルキス・ガンボア(31=キューバ)との王座統一戦の実現に向け、圧倒的な強さを示す意気込みを示した。

 試合会場の大田区・松原忠義区長を表敬訪問した後、内山は戦闘モードに入った。区長らと臨んだ世界戦発表会見。パーラの写真を眺め「3歳下なのに5歳上に見える」と笑わせ、自信の笑みを浮かべた。「ワンサイドで終わらせるような、KOでも判定でも『まったく歯が立たない』と思わせるような内容で勝ちたい」。

 世界ランク10位だが、パーラは21戦無敗で兄のロレンゾも元WBA世界フライ級王者。ベネズエラ初の兄弟世界王者を狙っており、同国に本部があるWBAが送り込んでくる「刺客」と言える挑戦者だ。内山は「相手も無敗。プライドを懸けた試合になる。海外に評価され、目に留まるような試合をしたい」と、ボクシングの本場を意識しながらV7防衛を成功させる気持ちを明かした。

 常にアテネ五輪金メダルでWBA同級暫定王者ガンボアとの統一戦実現を胸に秘める。内山は「やりたいのはガンボアだけ」と公言し、「世界の目」にいかに留まる試合をするかを大きなテーマに掲げている。「ここでしっかりパーラに勝たないといけない」と自らを奮い立たせた。

 2年前、東日本大震災が起こった。当時、内山は義援金100万円を寄付。昨年は2度被災地の高校ボクシング部を訪問した。「数%しか復興していない。募金を続けていきたい」。優しさと強さを兼ね備えた内山が自らの夢のため、防衛ロードを突っ走る。【藤中栄二】