<プロボクシング:WBO世界ウエルター級タイトルマッチ12回戦>◇12日(日本時間13日)◇米ネバダ州ラスベガスMGMグランドガーデン・アリーナ

 元6階級制覇王者マニー・パッキャオ(35=フィリピン)が、約1年10カ月ぶりの世界王座返り咲きを果たした。12年6月に王座を奪われた王者ティモシー・ブラッドリー(30=米国)と再戦。冷静な試合運びで戦い抜き、3-0の判定で勝利。因縁の相手に雪辱を果たした。パッキャオの戦績は、56勝(38KO)5敗2分け。

 コーナーに顔を埋め、判定結果を聞いたパッキャオは、安堵(あんど)の表情を浮かべた。負けない試合運びだった。4回、「揺れた」と振り返ったカウンターの右フックを顔面に受けると、ブラッドリーの強打に警戒心を一気に強めた。

 それでも、序盤に右足ふくらはぎを痛めた王者がペースダウンすると、隙は逃さなかった。一発を警戒しながら足を使い、的確に左を当て続け、冷静に試合をまとめた。取り戻したベルトを誇らしげに肩にかけると、「KOを狙ったところもあったが、彼は動きも速いしタフだった。あと2、3年は現役を続けていきたい」と先を見据えた。

 負けの許されない重要な再戦だった。前回は、05年以来約7年ぶりの敗戦。続く12年12月のマルケス戦でもキャンバスに顔から崩れ落ちる失神KOなど、キャリア初の連敗を喫した。09年11月からKO勝利もなく、限界説もささやかれた。

 因縁の相手に雪辱を果たしたが、全盛期を知るファンには物足りなさも残った。生中継で解説を務めた元4階級制覇王者ドネア(フィリピン)も「以前ほどのパワー、スピードは見られなかった。体を引くのが早く、パンチに力がなかった」と厳しい言葉を並べた。

 それでも、「定位置」に返り咲いたことで、ビッグマッチへの期待は膨らむ。不敗の5階級制覇王者メイウェザー戦の実現にも注目が集まる。パッキャオの伝説はまだ続く。

 ◆マニー・パッキャオ

 1978年12月17日、フィリピン・キバウェ生まれ。95年1月ライトフライ級でプロデビュー。強豪とのビッグマッチを続け、史上2人目の6階級制覇を達成。母国では英雄で、10年5月から国会議員としても働いている。