WBC世界フライ級王者亀田興毅(23=亀田)と、同級暫定王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(32=タイ)が、異例の時間差で舌戦を開始した。27日の王座統一戦(有明コロシアム)に向けて24日、都内で時間をずらして予備検診を受けた。かつてスパーリングで手を合わせた因縁の2人が顔を合わせることはなかったが、お互いの言葉に激しく反応。決着戦へ早くも決戦ムードが高まってきた。

 顔を合わさなくても、因縁対決の幕は開いた。予備検診は混乱を防ぐために別時間帯で行われたが、見えないからこそ両者の舌鋒(ぜっぽう)は鋭さを増した。まずは興毅だった。23日の公開練習でのポンサクレックのKO宣言に表情を一変させた。

 興毅

 できるんやったら、やってみろや。昔は格上やったかもしらんけど今は違う。レベルの違いを見せたる。

 2人は04年2月にタイでスパーリングで手合わせした。当時世界王者だったポンサクレックに、世界的には無名だった亀田がケンカファイトを臨んだ。そのころから、お互いを意識し合ってきた。以前は興毅も17度連続防衛を果たしたポンサクレックに一目置いていた。「フライ級の主。避けては通られへん相手やな」と評していた。だが、この日は違った。

 興毅

 礼儀(を知らない)とか言ってるみたいやけど、そんな優しい気持ちじゃオレには一生勝てん。ボクシングは戦争や。オレがボクシング教えたるわ。

 30分後、今度はポンサクレックがかみついた。タイでのスパーリングに話題が及ぶと顔色が変わった。

 ポンサクレック

 ビッグな態度で性格が悪い。亀田じゃなかったら殴っていましたね。汚いやり方をすると女々しくてひきょう。私はスポーツマンシップで正々堂々と、はっきりした形で勝ちます。

 会見に同席したピアラットマネジャーも「会見できつく握手したりする。汚いやり方はやめてほしい」と、26日の前日計量と調印式を前に「メンチ切り」や「握手」などの亀田流パフォーマンスをけん制した。【浜本卓也】