<フィッシング・ルポ>

 尾ひれのピンッ、としたトラウト(マス類)を自然いっぱいの中で釣るなら神奈川・箱根を目指せ!

 芦ノ湖の釣りが3月1日、開幕する。先駆けて実施されたルアー&フライ・フィッシング限定の23、24日の特別解禁では、70センチ級のニジマスも姿をみせた。この2日間で集まった笑顔と、きれいな魚を写真とともにお届けする。

 <23日>フワァ~ン!

 午前6時30分、ホーンが鳴り響き、特別解禁がスタートした。エンジン付きも手こぎもすべてのボートが目的のエリアを目指していった。

 その中、引き波でバランスを崩してボチャン-菊池貴之さん(42=港区)が落水してしまった。ライフジャケットを着ていたこともあり、無事に岸に戻ったもののビチョビチョ。すぐに着替えて、再び出発。うえ乃の桟橋前でスプーンをキャストして、着底後にゴツン!

 と衝撃がきた。69センチのニジマスだった。「特別解禁は昨年が初めてでした。見事にデカいのをバラした。モヤモヤしていたけどリベンジできた。今日は最初に冷たい思いをしたから絶対釣ってやろうと」と菊池さんは笑った。

 菊池さんと同乗した北畠蘭智亜(らんちあ)さん(29=大田区)は菊池さんの着替えの間に桟橋近くで何げなく投じた10グラムのスプーンで45センチのニジマスをゲット。「菊池さんに大自然の中で釣れるし、楽しいぞ、と誘われて。本当に面白い」。北畠さんはバス、菊池さんはシーバスが専門でトラウトはなじみではないが、ライトタックルで次々に釣り上げていた。

 もう20年近く通い続けている本多正孝さん(61=日野市)は2年前に62センチと63センチのニジマスをキャッチ。そのときのヒットスプーン(16グラム)からスタート。徐々にサイズダウンして最終的には10グラムで50・5センチを釣り上げた。「ウィード(水草類)に引っ掛けてからポーズ(静止)させたらガツンだった。楽しいねぇ」と満足の笑顔をみせた。

 昨年、芦ノ湖全体の大会「L&Fトライ」で70センチを釣ってニジマスの部を制した佐藤淳さん(25=秦野市)は今年も68センチの大物を釣り上げた。「昨年はうえ乃で買った600円の金色3グラムのスプーン。今年は色違いの7グラムの銀。このスプーンは安いけどすごい」と佐藤さん。翌24日早朝には、金、銀の両タイプが完売してしまった。

 <24日>前日の「L&Fトライ」でニジマスの部を制した三田勝宏さん(50=足利市)が72・5センチをキャッチした情報が入ったためか、湖尻はボートでにぎわった。

 午前7時前、ボート集団からちょっと離れた深良水門で藤田一暁さん(44=豊島区)が46・5センチのイワナをキャッチ。4グラムのスプーンを底にはわせるようにゆっくりと動かすと、何かにあたった。「ゴミかと思って寄せたらイワナだった。今まで15年ぐらい通っているけど、こんなにデカいイワナは初めて。うれしい」と藤田さんは会心の笑み。

 当初、冷たい西風が吹き下ろしたが、昼前から風もやんでポカポカ陽気となった。平均的には35~40センチの食べごろサイズのニジマスがヒットしていた。

 この日は湖尻地区限定の「湖尻deボート・フィッシング」が行われた。ニジマスの部では、梅田学さん(37=調布市)が67センチ(3・64キロ)を午前11時ごろ、三ツ石で釣り上げた。自作11センチのミノーをこの日初めて使って、スローなただ巻きでヒットさせた。「午後2時ぐらいにも、もっと大きいのがきたけどバラした。残念だけどいい釣りができた」と梅田さんはニヤリ。ブラウントラウトの部では、芦ノ湖での釣りは2度目という宮崎隆一さん(49=川崎市)が3・5グラムのスプーンで47センチ(1・5キロ)をキャッチした。

 参加者は23日が752人、24日が461人。本解禁はあと2日。芦ノ湖の美しいトラウトが釣り人を待っている。【寺沢卓】

 ▼宿

 神奈川・芦ノ湖

 湖尻「うえ乃」【電話】0460・84・8471。手こぎボート2人乗り3500円・3人乗り4500円。エンジン付き3人乗り9000円・4~6人乗り1万1000円。ボートポイント制度(有効期限3年)を始めました。エンジン付き1日で3スタンプ、手こぎ1日で1スタンプ。10スタンプで手こぎ、30スタンプでエンジン付きが無料に。

 ▼解禁

 3月1日(金)午前6時、終了は日没から1時間後。解禁期間は12月15日まで。年間遊漁券1万6500円、日釣り券1300円。

 ▼制限匹数

 マス類15匹、ブラックバス5匹。

 ▼ルール

 釣りの時間は芦ノ湖漁協の定める日の出&日没の前後1時間。コマセ釣り、プラスチック製ワーム、合成素材の付けエサは禁止。ワカサギ釣り以外での胴付き仕掛け使用は禁止。5月31日まで岸からのエサ釣り、サオ先から15メートル以上延ばす釣りの禁止。

 ▼問い合わせ

 芦ノ湖漁協【電話】0460・83・7361。

 ▼放流実施量

 2月15~21日に7日間連続で実施。ニジマス12・65トン、ブラウントラウト1545・6キロ、イワナ581キロ。3月1日の解禁後も、ニジマスが3月以降に5トン以上、ヤマメ稚魚は5月に600キロ、ヒメマスは4月100キロ、5月200キロ、ブラウントラウト、イワナも追加放流を予定。