<チャレンジ!!ヘラブナ道場!!>

 さあ、いよいよ難敵の山梨・西湖の宙釣りじゃ!

 精進湖でヘラブナの底釣りの基本をマスターした門下生2人だったが、富士五湖ですぐ隣の西湖には悪戦苦闘した。定まらないヘラのタナ(泳層)に惑わされてしまった。今回の教訓は「エサは最初にいじるな」だった。6月30日には「2013日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」湖川ブロック・ヘラブナ部門の予選会も控えており、参考になりそうだ。

 初日の西湖は小雨が降り続いた。無風の供養塔下ロープ。バチャッ。ヘラのモジリが目立つ。活性は高いようだ。大関実コーチ(45=08年日刊スポーツ・フィッシング・サーキット王者)のサオが次々にしなった。21尺(約6・3メートル)のサオを使っていた。

 大関コーチ

 西湖はタナさえつかめれば、いくらでも釣れる。でも、タナを把握できなかったら、いつまでも疑問の迷路から抜け出すことができなくなる。

 まるで謎解きだ。そばで聞いていた門下生の永瀬洋さん(37)と中村豪さん(32)は、なおさらチンプンカンプンだ。底釣りでは、まず正確に底を取ることが必須だった。だが、両ダンゴのチョウチン釣りでは、ヘラが活発に活動するタナを探って、維持しないといけない。

 問題はテンポだった。永瀬さんは、ウキがなじんでからしばらくして様子をみていた。大関コーチを見ると、なじんだ直後でサオを振り上げ合わせていた。

 大関コーチ

 エサは入水させると、沈みながらバラけていく。なじむころにはハリからエサは抜けてしまっていることが多い。宙釣りでは動くエサに反応するんですよ。

 永瀬さんは「待つ釣りじゃない。これは攻める釣りだと感じた」とうなった。テンポよく攻めて中村さんと雨の降った初日はともに20匹ほどを釣り上げた。大関コーチは56匹だった。

 2日目は快晴だった。湖水も澄んでいた。初日と同じ供養塔下にボートをつけた。師範代で日刊釣りペン・クラブの関川康夫師範代(60)も合流。ここで中村さんのボートの操船に“指導”が入った。

 関川師範代

 西湖は透明度が高い。こちらから魚が見えるけど、魚からも釣り人が見えているはず。音にも敏感だ。だから、座ってボートをこぐと、オールを回転させるたびに摩擦音が発生する。魚に気配を察知されてしまう。オール1本だけで静かに進ませることを覚えておくといい。

 大関コーチはこの日も順調に釣り上げていった。永瀬さんと中村さんのサオはピクリとも動かない。モゾモゾした反応はあるが、サオ先がしぼり込まれる力強さはない。大関コーチからハリスを10センチ延ばす指示が飛んだ。直後に永瀬さん、中村さんが良型のへラをキャッチした。

 関川師範代

 まず(1)ハリスを10センチほど延ばして、まだモゾモゾするならもう10センチ延ばす。次に(2)サオをハリスにあうサイズに変える。最後に(3)それでも食い込まないのなら、エサの硬さを替えてみる。最初にエサからいじってしまうと、疑問の迷路をグルグル回ることになってしまう。釣れるタナをしっかり押さえてほしいね。

 最終的には21尺のサオで落ち着き、4人とも釣果が伸びた。テンポ良くエサを打ち、素早くタナを探れれば、チョウチン釣りは楽しく攻略できそうだ。

 ▼ボート

 西湖「樹海荘」【電話】0555・82・2387。ヘラブナは出舟午前5時から。ボート1人乗り2500円、入漁料600円(女性・中学生半額)