通称・築地場内と呼ばれる東京中央卸売市場(東京都中央区)で5日、初競りが行われ、注目のマグロの取り引きで、青森・大間産の212キロのクロマグロに1キロ当たり35万円の値がついて、初競りの「一番マグロ」では史上2位の7420万円で落札された。

 今年で一番マグロを6年連続で落札した、すしチェーン「すしざんまい」を運営する「つきじ喜代村」の木村清社長(64)は「マグロでしか貢献できないけど、これで日本経済が元気になってくれればいい。それと、すしざんまいのお客さんがおいしいマグロを食べてもらえりゃ、私はそれでいいですよ」と語った。

 この大間のはえ縄漁でとれたクロマグロは、昨年12月30日午前10時ごろ釣れた。大間漁協では、正月休みとして30日正午から1月3日までが禁漁となる。残り時間ギリギリで釣れた1匹だった。

 今回は、地元築地の「すし好」や回転すしの「元気寿司」などと競り合った。ご祝儀がついたとしても2~3万円が通常の相場。正月の風物詩のようになってきてはいるが、同業のマグロ仲卸は「この高値がマグロの取引価格と思われるのは、やや迷惑だね。築地が注目されるのはありがたいけど」と注文をつけた。

 初セリでおとされた一番マグロは、正式な資料は1999年からになり、今回の7420万円は史上2位の記録になる。13年には1億5540万円と一気に注目されるようになった。

 昨年は「築地市場で最後の初競り」とうたわれた。しかし、小池百合子都知事の就任で、移転先になるはずだった豊洲新市場建設地の土壌の安全性が問題視された。昨年11月に移転する予定も崩れたままで、いまだに移転時期は決まっていない。

 木村社長は「移転? 大丈夫なんですかね。食品を扱う市場なんだから、そんな簡単には決まらない。もしかすると、来年の初競りの築地かもしれないね」と話した。