東京都の小池百合子知事(64)は6日、今夏の一大決戦・都議選での勝利を目指し、「酒断ち」する考えを明らかにした。「改革派候補の勝利へ、臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の断酒です」。国会議員時代にも、野党転落した自民党の政権復帰を願い、髪を伸ばし続けた。今回は、自民党を最大会派から引きずりおろすのが目的で、「勝てる候補」の擁立を明言した。きょう7日からは、自身の政治塾での人材確保を目指し、選抜試験を始める。

 「断酒宣言」は、公明党の東京都本部が開いた新年の会合で飛び出した。公務を終えた小池氏が駆けつけた時、乾杯は終了していたが、あいさつに立つと「乾杯が終わっていてよかった。というのも私、7月まで一滴もお酒を飲まないことにしました」と切り出し、「戦いを前に、臥薪嘗胆ということです」と述べた。

 その後、今年最初の定例会見で断酒の真意を問われ、09年衆院選で自民党が野党に転落した際、髪を切らずに政権奪還を願った経験に言及。「これ以上髪を切ると、髪がなくなる。他に断つものを考え、お酒のシーズンにぐっと我慢するのは意味があると思った。みりんはどうするなどの問題はあるが、お酒は、都議選の改革派の勝利を目指して断ち続ける」と訴えた。

 都議選での小池系勢力拡大を、断酒に託した小池氏。ふだんの酒量に関しては、「秘密。のり弁(黒塗り)で」とけむに巻いたが、小池氏周辺は「酒豪ではないが、下戸でもない。ビールならコップ2~3杯はいける。ワインも好き」と証言する。酒席への出席も多く、断酒は決して、低いハードルではないのだ。

 小池氏は都議選について「改革を志す人が選ばれるのが、私にも都民にも望ましい。大きな勝利を収められるよう、あらゆる選択肢を進める」と強調。自身の政治塾から候補を選ぶための試験も、7日に始まる。擁立は30~40人規模といわれるが、小池氏は「数を出せばどうなるというものでもない。流動的な政治力学を考えながら判断したい」と冷静に見極める構えだ。

 小池氏と連携を望む現職都議は、増加の一途。自民党からもさらなる「脱藩」の動きがある。候補者数は、現職の選挙区とのすみ分け次第だが、条件は単純明快で「勝てる候補」だ。「ただ都議になりたい人には遠慮いただく。何をしたいか明確な人」とも述べた。

 臥薪嘗胆ヘアは、政権奪還の願いを結実させた。今回の断酒も、実を結ぶ願掛けとなるか。【中山知子】

 ◆小池氏の願掛けVTR 09年衆院選で自民党が政権を失った後、政権奪還への願掛けから約3年間、トレードマークのショートヘアをセミロングまで、約25センチ伸ばした。自ら「臥薪嘗胆ヘア」と命名。12年衆院選で自民党が民主党から政権を奪還後、地元で「断髪式」を開催し、出席者が交互にはさみを入れて、担当美容師が仕上げて元のショートに戻った。小池氏は当時、「(長髪は)不評で、似合わないのは自分が一番よく分かっていたが、目的達成のためにつらいことを課そうと思った」と、願掛けの苦しさを振り返った。