「恐らく、テレビを見た方も違和感を持ったのではないかと思います」。

 民進党の野田佳彦幹事長は23日、衆院本会議で行われた代表質問で、天皇陛下の退位を巡る法整備に関し、政府が設置した有識者会議の議論が、世論調査での国民の声とは異なると指摘した際の例えとして、昨年末のNHK紅白歌合戦の勝敗を挙げた。

 野田氏は「思えば(紅白歌合戦の)視聴者の投票では白組の方が支持されていたのに、10人そこそこの審査員の投票で、なぜか、紅組が優勝した」と指摘。「これには壇上の歌手たちも戸惑い、紅組司会の女優さん(有村架純)も、何が起きたのか分からない様子だった」と主張した。

 有識者会議は23日、議論の中間取りまとめとなる論点整理を安倍晋三首相に報告するが、退位については陛下一代に限る政府方針に沿う内容になる見通し。一方、世論調査では、退位を陛下に限らず、将来の天皇も退位が可能な制度に整備すべきとする声が多い。

 野田氏は、この点を踏まえ「国民の多くは、有識者会議の議論の方向性に(紅白の勝敗と)同じような違和感を感じているのではないかと思う。総理も、各種世論調査の結果はご承知と思うが、民意と有識者会議の方向性に距離があることを、どう受け止めているのか」と見解をただした。

 これに対し、安倍首相は「昨年8月の天皇陛下のお言葉に対する国民の受け止めを踏まえ、現在、予断を持つことなく議論をいただいており、本日、論点整理が行われる。有識者会議では、この論点整理に対する各方面の動向同行も見据えつつ、さらに議論を深め、提言をいただく」と、述べた。

 民進党は、退位問題について、一代限りではなく皇室典範を改正した上での恒久制度化を主張している。