名物のサンマでは、税金は集まらない?

 東京都の小池百合子知事は2日、都内の区長と都庁で意見交換会を開いた。23区のうち20区長が出席。子育て支援や教育、防災などが共通の話題になる中で、目黒区長の青木英二氏(61)は「ふるさと納税」について語った。

 出身地などの地方自治体に寄付をすると税額が軽減される制度で、特色ある返礼品を出しにくい都市部の自治体では、税収の減少が続いている。

 「私たち目黒区は、平成28年度で約6億円減少の見通しです。29年度は9億円になる予想。ふるさと納税の趣旨には賛成しますが、現実的には、黒毛和牛と焼酎の返礼品競争みたい。残念ながら目黒区はサンマしかないので(笑い)、非常に苦戦しています」

 「サンマは目黒に限る」のオチで知られる江戸落語「目黒の秋刀魚(さんま)」にちなみ、目黒区では毎年9月に「目黒のSUNまつり」を開催。宮城県気仙沼市から届くサンマの炭火焼きを無料提供している。目黒区はサンマをふるさと納税の返礼品にしていないが、青木氏はサンマに引っ掛け、豪華な返礼品による自治体の寄付獲得競争を批判した。

 「乱暴な言い方ですけど、知事は官邸に乗り込んでいただいて、この問題を積極的に訴えていただきたい。このままだと、私たちが行政努力をしても、税収は増えない。23区共通の課題です」。小池氏は今回の意見交換会で、ふるさと納税について触れることはなかった。