築地市場の豊洲移転を巡り、土壌汚染対策費を考慮せずに土地を購入したのは違法だとして、都民約40人が都知事だった石原慎太郎氏が約578億円を支払うよう求めた訴訟の口頭弁論が31日、東京地裁で開かれた。石原氏の代理人が初出廷し「自らの好みで根拠無く物事を決定したつもりは毛頭ない。個人としての法的責任があるとは考えていない」と話した。

 原告側の大城聡弁護士が12年5月に始まった訴訟に今ごろになって参加した理由を問うと、代理人は「都が(石原氏に責任はないという)考えを変えるような報道に接し、出た次第だ」とした。

 東京都の小池百合子知事は今年1月の定例会見で石原氏の責任を問わないとする都の訴訟方針について「見直す」と発言。しかし、どのように見直すか明確な説明は法廷でなされていない。都の方針が未定のまま、石原氏の代理人もこれ以上の主張もできず、審理がストップしている状態。原告が都を訴え、都が石原氏を訴えるかもしれない異例の三つどもえの構図に、裁判長も困惑気味で「次回期日(9月4日)までに方針の骨子だけでも定めてほしい」と都に求めた。

 小池百合子東京都知事は今年1月20日の定例会見で、石原氏に責任はないとしてきた訴訟方針について「見直す」と発言。ただ、どのように見直すかは明示されいない。

 原告側の大城弁護士は閉廷後の会見で、「次回期日を待たずに小池知事が公の場で方針を明かしてもいいはずだ。もし、都議選までは言わないようにしようということなら、到底許されることではない」と、態度を明確にしない小池氏を批判した。