政府は24日の閣議で、セクハラ疑惑が報じられた福田淳一財務事務次官(58)の辞任を正式に決めた。調査継続を理由に野党が求める懲戒処分を見送り、約5300万円の退職金の支払いは留保する異例の対応だが、セクハラの事実関係を棚上げしたままの対応に、批判が強まっている。森友学園問題をめぐる文書改ざん問題で佐川宣寿氏が国税庁長官を辞任したのに続き、財務省事務方トップ2人が更迭される異常事態。政治責任が求められる麻生太郎財務相は、この日も心ない発言で物議を醸した。

 麻生氏は24日の閣議後の記者会見で、セクハラ疑惑で事務次官を辞任した福田氏への処分の在り方に関連し「はめられて訴えられているんじゃないかとか、いろいろなご意見は世の中いっぱいある」と語った。疑惑を巡っては、自民党の下村博文元文部科学相が22日の講演会で、テレ朝の女性記者が隠しどりした音声データを週刊誌に提供したことに「はめられている」「ある意味犯罪だ」などと発言。23日に撤回し、謝罪したばかり。

 一方、野党6党は同日、国会内で開いたセクハラ疑惑に関する合同ヒアリングで一斉に麻生氏の発言を批判、撤回と謝罪を求めた。出席した議員は、発言は被害者女性に対する「人権侵害」だと強調。ヒアリング前に福田氏の辞任が閣議で認められたことについて、立民の尾辻かな子氏は「このままではセクハラ容認政権と言わざるを得ない」などと述べた。