今月は、昨年、千葉県松戸市で起きた小3女児殺害事件の公判が集中的に開かれた。殺人などの罪に問われた被告と弁護側は起訴内容を否認したが、検察は死刑を求刑した。法廷取材を重ねた記者は、「つらい裁判だった」と振り返る。東京・目黒では、5歳の船戸結愛(ゆあ)ちゃんが虐待死。大人の胸をしめつけるような悲痛な訴えをメモに残した。サッカーワールドカップ(W杯)は、日本代表が劣勢予想を覆しコロンビアに大勝利。米朝首脳会談もついに実現してしまった、6月の言葉から-。
デスクA レェ・ティ・ニャット・リンさん殺害事件の10回の公判を傍聴取材したA記者。どう感じた?
記者A 渋谷恭正被告と弁護側は起訴事実を全面否認。犯行の目撃情報もなく、犯行当時、現場にいたのはリンさんと犯人だけとみられています。検察側は、犯行に直接つながる物的証拠として遺体や被告の車などから検出されたDNA型を指摘していますが、弁護側はそのDNA鑑定の信頼性を根本から疑問視。真っ向から対立しています。
記者B 私も傍聴しましたが、公判で争われたのは大半がDNA型に関する内容。被告は証人の証言と相反する主張をしたが、その反論にも具体性はあった。
記者A 遺族がいる法廷で、渋谷被告はリンさんが行方不明になったのは親の責任と主張。裁判長が「被害者の親に向かい、糾弾するような言い方はどうか」と指摘する場面もあった。
デスクB 推定無罪が原則の法廷で、検察が極刑の死刑を求刑し被告は無罪を主張。裁判員は重く、難しい判断を迫られると思う。
記者C リンさんの父レェ・アイン・ハオさんも裁判に参加した。
記者A 裁判所に死刑を求めるお父さんは、なぜ娘が殺されなければならなかったのか聴きたかったと思う。幼い子どもを連れ去り、陵辱の限りを尽くし、殺害した、あまりにむごい事件。お父さんの証言に、傍聴席だけでなく裁判員席でも涙を流す人がいました。
デスクB 大阪北部の地震では、高槻市の寿栄小学校でブロック塀が倒壊し、下敷きになった小3の女子児童が命を落とした。塀の建て方は建築基準法違反。「人災」だ。
記者C その地震翌日、加計学園(岡山市)の加計孝太郎理事長が獣医学部新設問題で突如、会見に現れた。首相との面会を否定したが反証はなく、疑惑解明には遠い内容。それ以前に、地震の余波が続くさなかの会見。どさくさ紛れとは、まさにこのことです。
デスクC 岡山県出身として、本当に恥ずかしいです。
デスクB サッカーW杯は、初戦勝利の立役者・大迫勇也フィーバーが続く。
記者D 「大迫、半端ないって!」は、新語・流行語大賞選考員の漫画家やくみつるさんも「私見ですが、おいしい言葉をいただいた」と好反応でした。
記者B 発言の主、兵庫・滝川二高出身の中西隆裕氏が、9年前にロッカールームで叫んだ言葉。大迫本人ではない一般人の言葉が時を超え、ここまでバズる。まさにSNS社会です。
デスクA 滝川二OBで、ロシアで取材中の記者によると中西さんは現在、銀行員。取材はNG。言葉の驚異的な拡散に、恐ろしさを感じているのでは。
デスクC 初戦の視聴率は48・7%。今年のNHK紅白歌合戦もかなわないと思う。
デスクB 最後まで半信半疑だったけれど、米朝首脳会談も実現したね。
記者C シンガポールで取材しました。市民がスマホを向ける中、金正恩氏を乗せたリムジンが、一流ブランドが立ち並ぶオーチャード通りを“封鎖”して走り去る様子は、どこか非現実的でした。成果より会談事実じたいがニュース。これからもめそうですが。2人の「そっくりさん」まで参戦し、有料の撮影会を開催。現地では「お祭り騒ぎ」の側面も感じました。
<政治>
▼自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(37)
「どう考えても、愛媛県にうそをついたというのはおかしい」
6日 加計学園問題をめぐり、国会に特別委の設置を要求。野党は歓迎も、与党幹部は応じず。
▼小池百合子都知事(65) 「先生に『非常にいい成績だった』と言われ、うれしくてそれを書いたと思う」
15日 月刊誌「文芸春秋」が報じたカイロ大卒業の学歴詐称疑惑で釈明。卒業は事実と主張したが、自身の著書に記した「首席卒業」には、言葉を濁す。
▼浜田剛史・高槻市長(53)
「なぜこんな塀をつくったのか分からない。誰にどんな過失があったのか言うのは難しいが、市の責任は免れない」
19日 女児が死亡した寿栄小のブロック塀倒壊について。市は、建築基準法違反を認める。
▼加計学園の加計孝太郎理事長
「3年も前で、記憶にもないし、記録にもなかった」
同日 大阪府北部地震翌日、サッカーW杯日本代表初戦当日に、急きょ初会見。愛媛県文書に書かれた15年2月の安倍首相との面会を否定。愛媛県側に伝えたのは、事務局長の勝手な判断だったとの認識示す。
▼安倍晋三首相(63)
「もう集中審議は勘弁してほしい」
20日 自民党の河村建夫衆院予算委員長が会食時の首相発言として紹介したが、通常国会延長に反対した野党は、「じゃあ、なぜ延長したのか」と反発。翌21日に「そういう言い方は一切なかった」と、急きょ火消し撤回。日本のトップの言葉の軽さがまた露呈。
▼麻生太郎財務相(77)
「試合が終わるかと思ったらロスタイム5分。この国会延長も同じや。ロスタイムの間に、下手な失点がないように」
21日 派閥会合で。国会延長中の心構えを、日本-コロンビア戦のロスタイムに例えたが、下手な失点の不安があるのは、ご当人ではないか。
<社会>
▼東京・目黒区での虐待死事件で亡くなった船戸結愛ちゃん(当時5)
「きょうよりか あしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください」
6日 覚えたばかりのひらがなで、両親に許しを請う言葉を記したノートが発見される。両親は保護責任者遺棄致死容疑で逮捕。それを読み上げた警視庁捜査1課幹部も声を詰まらせた。
▼袴田巌さん(82)
「そんなのうそなんだよ」
11日 東京高裁が静岡地裁の決定を取り消し、再審請求を棄却。弁護団は最高裁に特別抗告。
▼のぞみ176号運転士
「動物にぶつかったと思った。以前も大きなトラブルになっていないので、今回も大丈夫だと思った」
14日 人をはね、衝突音を聞きながらも指令所に報告せず。小倉駅駅員も先端破損に気付きながら報告しなかった。状況次第では重大事故の可能性もあった。
▼9日に走行中の東海道新幹線内で起きた死傷事件で、女性2人を助け、容疑者に立ち向かい刺殺された梅田耕太郎さんの両親
「目の前の危機に手を差し伸べずにはいられなかった息子の勇気に、わが子ながら心を激しく揺さぶられております」
18日 葬儀を終えて、コメントを発表。犯行に及んだ小島一朗容疑者は「誰でもよかった」などと供述。
▼高校サッカー強豪校、兵庫・滝川二の栫(かこい)裕保前監督(57)
「それはもう、半端なかった」
19日 9年前の高校サッカー全国選手権大会で対戦した、当時鹿児島城西高の大迫勇也を振り返って。
▼週刊少年チャンピオン編集部
「プロ野球選手も愛読する国民的漫画に、ついにゲームセットの時が来た」
20日 連載期間実に46年。昭和、平成と読み継がれた名作漫画「ドカベン」が、28日発売号で連載終了と発表。さらば、山田太郎。
<国際>
▼北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長
「世界中の多くの人々は、SF映画のファンタジーだと思っているでしょうね」
12日 史上初開催となった首脳会談の意義について。
▼トランプ米大統領(72)
「複数の映画でボクサーから何度も頭を殴られた。知能指数が非常に低い人物」
12日 「くそ野郎」と罵倒された俳優ロバート・デ・ニーロを、ツイッターで反撃。
▼ロシアのプーチン大統領(65)
「言葉やイデオロギー、信仰に支配されない団結こそがサッカーの偉大な力だ」
14日 W杯ロシア大会開幕式でスピーチ。
▼ニュージーランドのアーダーン首相(37)
「母子ともに健康です」
21日 女児出産を発表。国のトップが任期中に出産するのは珍しく、6週間の産休を取得予定。野田聖子総務相は22日の会見で、「国際社会の中で、そういうことが当たり前になる第1号になればいい」とエール。