任期満了に伴う自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)に出馬の意向を目指していた下村博文政調会長が30日、立候補を断念することを表明した。この日午前、下村氏は官邸で菅義偉首相と会談し、首相から出馬を見送るか、政調会長を辞任するかを迫られ、出馬断念を決断した。

下村氏は「総裁選の時には政調会長の職を辞して出馬する予定だった。新型コロナ対応に全力で取り組むことが大切。今の職務に専念する」と説明したが、自民党総裁である首相の強権の前に事実上、屈した。

総裁選には菅首相、岸田文雄前政調会長が出馬表明した。高市早苗前総務相も出馬に意欲を示し、石破茂元幹事長は出馬について、この日も「白紙」とした。

党内では二階俊博幹事長が二階派を挙げて菅再選支持を表明し、安倍晋三前首相も再選を支持している。二階氏はこの日、共同通信のインタビューで岸田氏による「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」とする改革案に「失敬だ」と不快感を示した。

野党が求めている総裁選前の臨時国会の召集について、政府与党は見送る方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。【大上悟】