自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に出馬を検討していた石破茂元幹事長が14日、出馬を断念した。

5度目の出馬を模索していたが、石破派(17人)では河野太郎行革相への支持や慎重論が出るなど、意見が割れ、出馬に必要な国会議員20人の推薦人の確保も危ぶまれていた。「今は立候補できる状況にはない。見送る」と関係者に伝えた。石破氏は、きょう15日に派閥の臨時総会で不出馬を表明し、河野氏支持を打ち出すものとみられている。

菅義偉首相の後継を争う総裁選は河野氏、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相の3人による争いの構図が固まりつつある。野田聖子幹事長代行も意欲を示すが、推薦人の確保に難航している。

この日、石破氏は自民党本部で二階俊博幹事長と約10分間、会談。意見交換を行ったものとみられる。会談後、議員会館の事務所前に報道陣が詰めかけたが、代表取材のみに応じ「自分の同志である議員たちに説明しなくちゃいけないので明日(15日)正式に話します」と述べるにとどめた。

石破氏は前日13日に議員会館の事務所で河野氏と約20分間会談し、河野氏から支援を求められ、河野氏が総裁選を勝利した場合に「挙党体制をつくりたい」と協力を要請された。出馬表明した岸田、高市、河野の3氏は森友学園問題の再調査を不必要としているが、石破氏は再調査が必要と訴えるなど、安倍晋三前首相時代の負の遺産の清算にも言及していた。河野氏の主張と、くい違いもあった。

河野氏にとって所属する麻生派(53人)も岸田氏支持で二分され、一枚岩ではない。脱原発の持論から「原発再稼働が現実的」とトーンダウンするなど、主流派への配慮がうかがえ、支持拡大には不安要素が残る。

安倍氏の出身である最大派閥の細田派(96人)は、この日の臨時総会で高市、岸田両氏を軸にした自主投票を決めた。一方、石破氏側近の平将明氏、細田派の柴山昌彦氏らは河野氏を支持するグループ会合に出席するなど派閥を横断した動きも加速した。

三つどもえの投票で決着がつかず、岸田、河野両氏の決選投票となった場合には、安倍氏を含めた細田派は岸田氏支持に動く可能性もある。【大上悟】