北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU1(カズワン)」=19トン=が遭難し11人が死亡、15人が行方不明になった事故で、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)が27日、桂田精一社長の会見前に説明資料を配付した。

◆運航会社「知床遊覧船」が配布した事故発生までの経過説明(要約)

▼21年5月 KAZU1が船首を海上浮遊物と接触する事故。運行していた船長は豊田氏ではない

▼同6月 船尾を暗礁に擦る座礁事故。運行していたのは船長の豊田氏

▼同7月 造船会社に修理に出した。修理後JC1の検査を受けて合格(書類等はKAZU1の船中)。(※修理状況は資料の写真参照)その後、北海道運輸局から当社に対し上記2事故に関する行政指導。当社からは改善報告書を提出

▼22年1月~ シーズンに向けて陸に上げ、造船会社に船の整備を依頼

▼4月15日 整備が完了し港においた。その後複数回テスト走行

▼20日 日本小型船舶検査機構の中間検査受け合格(書類等はKAZU1の船中)

▼21日 KAZU1が他の運行会社3社とともに事故を想定した救助訓練。海上保安庁の定期な安全点検が行われ、救命胴衣、船体の検査。船体の亀裂等の指摘はなかった

▼22日 豊田船長が他社の方と海上の漂流物を確認するために安全確認の運行。23日のコースと同様

▼23日午前8時ころ 豊田氏から午後の天気が荒れる可能性があるが、午前10時からは出航可能との報告あり。海が荒れるようであれば引き返す条件付き運行を打ち合わせ、当日の出航を決定

◆午前8時半 当社の他の船長から当社の無線のアンテナが故障している報告があり、業者に修理を依頼。携帯電話や隣接する他社の無線でのやりとりも可能であるため、出航を停止する判断はしなかった

◆同10時 ウトロ港を出港

◆午後1時13分 他社に無線連絡「今カシュニの滝だけど戻るのが遅れます」

◆1時18分 他社に無線連絡「船首が浸水している」等の援助を求める連絡。他社は海上保安庁に救助要請。KAZU1はその後海上保安庁とやりとり

◆同4時半ころ 海上保安庁航空機などが現場到着し、救助活動を開始