鹿児島県薩摩川内市から、東シナ海に浮かぶ同市・甑島(こしきじま)へと旅してきた。今年4月から高速艇が就航して1時間30分で行き来ができる。その船をデザインしたのが「七つ星」などの車両をデザインした水戸岡鋭治氏というのも、乗船してみたい理由のひとつだった。
- 「七つ星」などの車両をデザインした水戸岡鋭治氏がデザインした高速艇
<水戸岡氏デザインの高速艇で>
甑島とは、どんな島か? 高速艇は? 船内は木調の薄茶色、そしてシートはブルーで統一されている。進行方向に向かって座席が映画館の館内のように横一列に並ぶのではなく、丸テーブルあり、長テーブル、長いソファありと、くつろぎとゆとりの演出。座席の指定もないので、好きなところに好きな格好で乗船できる。
- 水戸岡鋭治氏がデザインした高速艇の室内
何よりいいのが、空間が多く、ゆったりと設計されていることだろう。
「まるまる、自由席です」と案内されたが、まさに船内全体が自由空間。
それにしても、水戸岡氏が変えていく日本の列車&船&バスなどのデザインは、確実に国内の旅の楽しみのベクトルを変えていく。水戸岡イズムは九州だけでなく全国に広まり、ゆとりと楽しさを運ぶ旅を広げた。
1個人のデザイナーが旅のコンセプトをここまで変えてみせる力には敬服である。あとは、旅に向かう個人。その意識の問題とお金…、といえなくもないですが…。
<豪快!漁師料理満喫>
さて、甑島である。
大きくは上甑、中甑、下甑の3つの島に別れ、全人口は6000人弱。漁業の島であるが、最近は観光へも、注力し始めた。
観光協会の人に聞くと「鹿の子百合の自然群生地。この花を見に来る人が一番。次ぎは釣りやダイビングでしょうか」
9月の中頃まで咲いているという鹿の子百合は、盛りを過ぎてはいたが、島のあちらこあちらにかわいらしい姿を見せてくれた。
清楚であり、優しくあり、また野趣にもとむ百合。
特に、夕景と相まって、赤く染まる山裾に可憐な姿。わざわざ、この花に出逢いに来る人がいるというのもうなずけるのである。
- 9月の中頃まで咲いているという鹿の子百合
宿では夕食に豪快な伊勢エビの刺身が出て、地元の焼酎と最高のごちそう。
食といえば、次ぎの朝、早朝4時に起きて船に乗り定置網漁の観光と、その後の朝食が、これまた最高であった。
- 伊勢エビ料理
定置網漁の観光は、観光客へのオプションとして、まだ確立したものではなく、今後、「様子を見て、考える」という段階。是非、実現させて欲しい。
何が、そんなにすばらしいかといえば、まず、船に漁師さんたちと一緒に乗船させてもらい、定置網魚を間近で見学できること。
巻き上げの様子、魚の選別の様子、瞬時に手際良く進む漁の男たちの様子は、そう滅多に見られるものではない。
そして、陸に戻っては出荷作業を見学し、その後の朝飯である。
- 漁師さんたちといっしょの賄い料理
漁師さんたちといっしょのテーブルで賄い料理をごちそうになったのだが、これが豪快、美味、新鮮そのもの。サワラ、アジ、イカの刺身を大皿山盛り。それに魚をぶつ切りにして、味噌汁の中で煮込んだ大鍋汁。炊き立ての白いご飯と合わせて、まぁ旨いこと。最高のごちそうをいただいた。
是非、観光の目玉に!
すばらしい体験を、観光客のみんなにも、どうぞ、分けてあげてくださいという気持ちである。
<若い女性が鹿児島市内の案内人>
- AKBばりのかわいい女性陣が観光案内
さて、島を後に帰路、立ち寄ったのが鹿児島市の新しい観光の目玉?
「若いお嬢さんたちをコンシェルジュにして、市内を巡る観光」である。
ミニのキュロットに地下足袋という制服。AKBを摸したような、かわいらしい女性陣が市内の名所を案内するというのだ。二人1組になり、2時間半のコースを1人料金・2500円で案内してくれる。(9月いっぱいはキャンペーン中ということで1000円)。
案内される、こちらも、恥ずかしさとうれしさで、少々赤面ものだが、正直いって、おじさんには楽しい体験。娘や孫の世代の女の子?と、市内散歩である。
一生懸命説明してくれる姿に微笑み、また歩きながらの雑談に花を咲かせて…、旅の想い出にプラスワン!?
※問い合わせ先。「かごしま遊楽館」電話03・3506・9174。「川内駅観光案内所」電話0996・25・4700。「薩摩こんしぇるじゅ」は「株・ミエルカ」電話099・227・1020。