【(4)実践編その2】

 「兼松伸行のチヌかかり釣り教室」、4回目は「実践編その2」です。今回はチヌかかり釣りの基本について教えてもらいます。仕掛けを入れる場所や、チヌのアタリに合わせを入れるタイミング、掛けてから取り込むまでに気をつけることなどを知り、かかり釣りのテクニックを理解しましょう。

 実釣ではダンゴ釣り、広角釣法があります。ダンゴ釣りはハリを刺したエサをダンゴに包んで落とす釣り方。ダンゴの役割はエサ取りからサシエを守り、海底まで届けること。またチヌを集める効果もあります。基本的なダンゴ釣りから話を進めましょう。

 釣る層は「中層」、水深と同じ「トントン」、水深よりラインを余す「ハワセ」がありますが、ダンゴ釣りの基本はトントンです。ダンゴが着底すればロッドを水面と平行に構えてトントンでアタリを待ちます。30秒程度はダンゴからエサ出ししないようにし、それでも反応がなければ舞い上がらないように静かにエサ出しを行います。刺しエがダンゴから出ればトントンをキープしアタリを待ちますが、ダンゴのそばから刺しエが離れないよう、ロッドでコントロールします。

 この時にアタリが出ても、すべてを合わせていくのではなく、野球でいう「好球必打」に徹します。この場合の「悪球」はエサ取りのアタリ、「好球」はチヌのアタリを指します。エサ取りのアタリは徹底的に合わせず見送って、本命チヌだけのアタリを合わせましょう。基本的には重みのある穂先が戻らないアタリがチヌ、軽くて戻るアタリはエサ取りです。

 そうして本命アタリと判断すれば合わせます。合わせに関しては極力大きく、速い合わせが必要です。アタリの出た穂先の位置から一番遠い位置まで天高く一瞬で動かします。それでも合わせが効かない弱いと思う時は一瞬で立ち上がって合わせることもあります。

 そうして掛けたチヌをいよいよ取り込みます。魚の動く方向に対してロッドとラインの角度をいつも90度以上に保ちながらロッドのパワーを最大限生かして魚を浮かせます。そして、その浮いた分だけ素早くラインを巻き取るポンピングを繰り返します。

 注意することは前方で掛けたり魚が走ったりした時にロッドを立てて常に角度をキープすること。また逆に魚がイカダの下へ走った時にはロッドを水面に突っ込んで角度を保ちます。このときはラインブレイクの恐れがあるので、フロートなどにラインが触れないように注意を払いましょう。

 ◆兼松伸行(かねまつ・のぶゆき)1965年(昭40)5月26日生まれ。大阪府大東市在住。「全日本チヌトーナメント」6回、「全日本チヌ釣り王座決定戦」9回優勝。昨年も「チヌ名人位決定戦」第1回王者となるなど、最強のトーナメンターとして知られ、ファンも多い。かかり釣りの親睦会「K-ZERO」(北陸、関東~九州まで10支部)会長、京阪チヌ釣り研究会会長。兼松柔道場師範。本紙にイカダ、カセ、波止の落とし込み釣りなどの釣行記を執筆。著書も多数。