「2010日刊スポーツ・フィッシング・サーキット」湖川ブロック・ブラックバス部門の決勝大会が22日、茨城・新利根川「松屋」(松田健一代表)を本部に予選6地区の上位者各3人と昨年覇者のシード選手1人の計19人で覇を競った。本紙では27日付紙面で競技詳報を伝えたが、さらに今回は「ニッカン・コム」で決勝大会上位者3人についての特集記事を3日連続で掲載している。最終日は5年ぶり2度目の王座を奪回した椎谷(しいや)勝義さん(42=君津市、亀山湖予選2位)です。

 

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 5年前と同じ場所、新利根川で再び王座に就いた。椎谷さんは「本当に申し訳ないんですが、プラ(プラクティス=試釣)に来たのが5年ぶりだったんです」と表彰直後の会見で会場を笑わせた。ただ、猛烈に感動したこともあった。「5年前の記憶とまったく変わっていなかった。この5年のうちにバスが安住できなくなっていく湖ばかりをみてきたので、本当に驚いた。すごいことです」と椎谷さんは目を丸くした。

 その言葉通りに、5年前に優勝した上流のコンビニ前のアシ際と近くに掛かる橋の下で40センチオーバーを含む5匹をそろえた。ベイトタックルは眠らせた。4ポンドラインのスピニングタックルしか使っていない。ダウンショットリグとワームにシンカーを仕込む通称「ネコリグ」だけで勝負した。

 「今回は答え合わせのようなもの。自分の釣りよりも、ほかの選手がどのような釣りをしたのか、そればかりが気になったし、その話を聞くことができて、とても勉強になった。大きな収穫です」と王者に復活したとは思えないような殊勝なコメントを残した。

 バス・フィッシングと出合ったのは小学生のころ。まだ、亀山湖は建設中で、父親に金山ダムまで連れていってもらった。早朝から日が暮れるまで岸からキャストし続けた。一時期、バンドにはまり、持つものがロッドからマイクに変わったが、20歳のときに滋賀・琵琶湖でバスプロの試合を見て衝撃を受け、再びバス釣りに戻った。そして念願のバスプロになり全国を駆け巡った。そして、98年にルアーショップ「シーカー」をオープンさせた。

 家を空けることが多くなり、家族との時間を優先して第一線からは退いた。それだけに日刊スポーツ・フィッシング・サーキットに出場して決勝大会を制することは「何よりもうれしく、励みになる」という。

 優勝者は翌年の決勝大会へのシード権を得て、さらに会場を自由に決められる。椎谷さんは亀山湖をチョイスした。「勝てる自信はないです。みんなちゃんとプラをして研究してくる。この大会は決勝会場がどこになるか分からないのがいい。このスタンスは崩してほしくない」と椎谷さんは話した。

 過去に大会を3度制したバスマンはいない。自信がないといいながらも「もし、仮に、私が勝つようなことがあったら、その次は亀山湖ではない場所でやりたい」。椎谷さん、闘志満々である。