村上桜ケ丘が、両チームともに10安打、計20安打の打撃戦を制し、柏崎を下した。5番の石栗飛雄馬(2年)が3打数2安打で、チーム得点の半分の4点を記録、松田忍監督の66歳の誕生日に勝利をプレゼントした。

 二転三転する打撃戦で、石栗がゲームの主役に躍り出た。1-2で迎えた1回裏1死二、三塁の場面は同点となる左翼への犠飛。3-4と再びリードを許した2回裏1死満塁のシーンは2点を返す逆転の中前安打だ。7-6とした7回無死三塁も中前へはじき返してダメ押しの8点目。5番打者は、チャンスに強さを発揮して3打数2安打。打点4を荒稼ぎした。「前の試合(対佐渡)はバットの先っぽで捉えていたから、ポイントを遅らせた」と短期間でタイミングを修正して、ひと暴れした。

 どうしても勝ちたい理由があった。というのは12日が松田監督の66歳のバースデー。組み合わせが決まったとき、指揮官は1回戦当日が誕生日だと、選手たちに告げた。「実は12日が俺の誕生日。どうするんだ、と聞いたら勝利をプレゼントします、と言った」。打席に立つ石栗の頭からも「監督誕生日」は終始離れなかった。「意識していた」という言葉通りに勝利を贈るための快打を連発した。

 夏の4番打者で三塁手だった西野護(2年)が夏の準々決勝(対小出)で左ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂に見舞われ、秋は不在だ。夏の一塁手から三塁手に入った石栗は、西野からグラブを借りて大会に臨んでいる。「あいつと一緒にプレーしたい」「打線の主軸だった西野のカバーをしたい」という意味を込めての借用。故障した西野の思いも打席で背負っていた。

 名前の飛雄馬は父良一さん(53)がマンガ「巨人の星」からつけた。安塚中時代は主に捕手で「(投手の)星飛雄馬ではなく、お前は伴宙太だ」とからかわれたこともあったが、この日はマンガの主人公になったような活躍だ。夏休みにはフリー打撃、ティー打撃とは別に1日1500本の素振り。「打ち勝つチームを目指してやってきた」と言う石栗の打撃が、打ち勝つチームを象徴していた。【涌井幹雄】

 ◆石栗飛雄馬(いしぐり・ひゅうま)1998年(平10)10月21日、上越市出身の16歳。野球は安塚小2年で始めた。中学時代は主に捕手を務め、3年のときは投手も経験。今夏は背番号3で4試合15打数7安打。家族は両親、姉2人、妹、祖母。右投げ左打ち。170センチ、68キロ。血液型O。