<カブス1-2ブルワーズ>◇11日(日本時間12日)◇リグリーフィールド

 【シカゴ(米イリノイ州)=佐藤直子通信員】ブルワーズ青木宣親外野手(30)がメジャー初先発したゲームで存在感を示した。カブス戦に「1番左翼」で出場。球をよく見て、際どい球はファウルでしのぐなど、ねちっこい打撃を披露して、敵のエース・デンプスターをうんざりさせた。3打数1安打1四球の結果よりも、相手投手陣に4打席で合計29球を投げさせたことで、首脳陣からは高く評価された。

 開幕6戦目にして初スタメンを飾った青木が、粘りの打席で魅せた。象徴的だったのは、1点を追う3回先頭で迎えた第2打席。2ストライクと追い込まれてから、速球、カッター、スプリットの各球種を4球連続ファウルでしのぐと、カ軍先発デンプスターに焦りの色が見えてきた。意表を突こうと投げたカーブは高くすっぽ抜けてボール。最後は2-2からの10球目、外角高めのカットボールで左飛に打ち取られたが、「AOKI」の名前を印象づけた。

 「ベンチに帰っても、安打と同じくらいの価値があると言われた。周りの選手からも、いいプレーだったと言われたので、凡退したけど、ちょっとうれしかったですね(笑い)」。結果も残した。第3打席にもフルカウントから粘り、8球目の内角低めカッターを右前打。第1打席の四球(5球)と合わせ、106球で降板したデンプスターに1人で23球を投げさせるいやらしさを見せた。

 4年連続2ケタ勝利、ブ軍キラー(試合前まで通算15勝5敗)のデンプスターも「歓迎しない相手だね。今日はもう相手にするのが疲れたよ」と脱帽だ。青木は4打席で相手投手に29球投げさせた。1打席平均4球以上投げさせたら大リーグトップクラスのところ、平均7・25球。ブ軍のナロン打撃コーチは「アウトスタンディング!(飛び抜けて素晴らしい)」と最高級の賛辞を贈った。

 出塁を狙う打席での粘りは、日本時代からの持ち味だ。この日は4打席中2度出塁に成功。相手投手に球数を多く投げさせることと併せ、1番打者として十分な仕事を果たした。レネキー監督も「いい仕事をしてくれた。シーズンを通してやってくれそうだ」と高く評価。逆転勝利で試合が終わると、青木は左翼の守備位置で笑顔をはじけさせた。「あの瞬間が一番うれしい。楽しかったです。久しぶりに試合に出たって感じがしました」。さらなる先発機会を求めて、存在感をアピールし続けるのみだ。