賭博開帳図利ほう助の疑いで、警視庁に逮捕された元巨人の笠原将生容疑者(25)は、球界復帰に意欲を見せていた。日本野球機構(NPB)が選手、関係者らから賭博関与について自主申告の受け付けを発表した後の4月中旬、取材に対し「(野球を)できればまたやりたい」。トレーニングも再開したことを明かした矢先の、逮捕劇だった。

 逮捕前、笠原容疑者は野球賭博にのめり込んでいった様子を赤裸々に語っていた。「スポーツマンは勝負の世界。ギャンブルは同じように燃えるし、やりたくなる」。寮でのマージャンに始まり、球場のロッカールームでの賭けトランプ。違法カジノ店にも通った。その延長線上にあったのが野球賭博だった。

 元プロ野球選手の父を持ち、幼い頃から野球に打ち込んだ。福岡工大城東から09年に巨人に入団。甲子園経験はなくとも、右の本格派として将来を嘱望される投手だった。プロ4年目、12年の1軍初登板から、中継ぎを中心に80試合に登板し7勝1敗1S。華やかな舞台で活躍しながらも、ギャンブル熱が冷めることはなかったという。

 賭博開帳図利容疑で逮捕された斉藤聡容疑者と知り合ったのは3年前だ。「頼れる兄貴のような存在だった」。次第に親交を深め、14年には野球賭博のレートである「ハンディ」を見せてもらい、野球賭博に手を出した。「普通に試合を見るより、わくわくする。高額を張った試合で、賭けたチームがピンチを乗り切った時は、めちゃくちゃテンションが上がった」。

 賭博問題の発覚後、笠原容疑者は「関係者に迷惑を掛けて反省している」と謝罪した。一方で、今年3月に新たに賭博関与が分かった高木京介元投手の処分が自分より甘かったことなどに「球界には不信感がある」と不満も。それでも野球選手として「トレーニングを再開した」と、再びグラウンドに立つ日をあきらめてはいなかった。知人の男性は「酒好きで無邪気なやつ。ただあまり善悪の区別が付いてなくて、何となく野球賭博に手を出してしまったのでは」と推測した。