リョウ、お前の力が必要だ!

 ロンドン五輪代表候補のFW宇佐美貴史(20=Bミュンヘン)が、五輪本番でのFW宮市亮(19=ボルトン)の招集を熱望した。トゥーロン国際大会で1次リーグ敗退となった同代表が29日、フランスから帰国。大会2得点の宇佐美は五輪本大会へ、海外組の存在価値を強調し、俊足を誇る宮市との連係攻撃を思い描いた。日本協会は6月中旬の国内合宿で、急きょJクラブと練習試合を行う方針も打ち出した。

 日焼けした宇佐美の表情が引き締まっていた。チームは最低目標の準決勝進出さえ果たせず、予定より5日も早く日本に戻った。五輪まで60日を切り、このままではいけないという思いを胸に秘めた宇佐美が、W杯アジア最終予選に招集されている宮市の五輪メンバー入りを熱望した。

 宇佐美

 あのスピードをこのチームで生かし切ることができれば、間違いなくプラスになる。お互い両サイドになれば、スピードの攻撃で打開できる。ぜひ、五輪で一緒にやりたい。

 左サイドを駆け上がり、ゴール前に飛び込む宮市にクロスを送る。頭の中には、50メートル5秒台の俊足を持つ宮市との連係攻撃がイメージできている。「自分がトップ下でやってもいい効果が出ると思う」と、別のオプションも思い描いた。

 自身は27日のエジプト戦で2ゴール。他の試合ではFW指宿、FW高木が得点し、海外組が結果を残した。それでも、結果はグループリーグ最下位という最悪の結末となった。さらなるレベルアップに向けて、宇佐美は海外組の存在がもたらす効果を強調。「練習から厳しい環境でやれている。Jが悪いというわけじゃなく、Jより環境に慣れているメリットは大きい」と話し、宮市を含めた海外組中心のメンバー構成の必要性を訴えた。

 五輪の前哨戦で5試合を行う予定が3試合に終わり、協会側も動く。当初は6月25日から3日間を予定していた国内合宿を、18日から3日間に前倒しした。これなら27日のナビスコ杯にかぶらず、最終日の20日にJクラブと練習試合を行う方向で交渉を進める。「(五輪は)自分がワンランク成長するためにも、何が何でも出たい大会。今はA代表の意識は全くない」と、言い切った宇佐美。選手、スタッフの熱い思いがチームを強くする。【由本裕貴】