北アフリカにあるスペイン領の飛び地セウタに移民が多数押し寄せた問題を巡る騒動が、スペインサッカー界に波及した。レアル・マドリードに所属するフランス代表のエムバペ選手が試合前に、セウタ市民への連帯を示すメッセージを隠し、一部ファンが激怒。エムバペ選手が釈明する事態となった。

15日のスペイン1部リーグの対エルチェ戦で、両チームの選手は「われわれはみなセウタ市民」と書かれたTシャツを着て入場。エムバペ選手らはTシャツの裾をまくって文字を隠した。

セウタには7月、モロッコから7万人を超える移民が流入し死者が出た。多くは帰還したが数千人が残っており、Tシャツには混乱の影響を受けた市民に連帯を示す狙いがあった。極右系サポーターはエムバペ選手らに謝罪を要求した。

エムバペ選手は16日、地元メディアに「セウタと全ての犠牲者に完全に連帯している」と語った。一方、厳しい環境で暮らす移民に言及し「苦しみに優先順位を付けたくなかった」と説明した。

フランス政界も騒動に反応。極右政党、国民連合(RN)のオドゥール下院議員は「嘆かわしい」と非難した。極左政党「不屈のフランス」のボンパール下院議員は、セウタ市民への支援と移民への連帯を対立させることを拒んだとして「称賛に値する」と擁護した。

エムバペ選手はカメルーン出身の父とアルジェリア系の母の間に生まれた。今年のワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会で計10ゴールを挙げ、2大会連続の得点王となった。(共同)