【第54回】
背後にある弱さに目を向ける
薬物依存症(1)
覚せい剤やシンナーなどを「ダイエットや勉強に良い薬」とだまされたり、友達に勧められてうっかり使用してしまう若者が増えている。薬物は使用すると正常な脳の働きを変えてしまう。急激に身体に異常をもたらすものもあれば、徐々に依存状態となるものもある。依存症に詳しい西脇病院(長崎市)の西脇健三郎院長に薬物の特徴を聞いた。
▼覚せい剤 薬が切れると非常に疲れたように感じる。依存性が高く使用を続けると、幻覚や妄想を伴う覚せい剤精神病になる。スピード、エス、シャブなどとも呼ばれる。
▼大麻(マリファナ) 吸うと幻覚が現れる。使用を続けていると、無気力になり大麻精神病になる。チョコ、ハッパ、ハッシシュとも呼ばれる。
▼シンナー性有機溶剤 酒に酔ったようになり、判断力、記憶力、運動能力などが低下する。大量に吸引すると呼吸ができなくなり、死に至ることもある。使用を続けると、幻覚が現れ、怒りっぽくなったり、無気力になったり、性格が変わってしまう有機溶剤精神病になる。アンパン、ジュントロとも呼ばれる。
▼コカイン 心拍数が上がり、大量に使用すると死に至る。依存性が高く、幻覚が現れ、コカイン精神病になる。
このほか、禁止薬物といわれているものには、LSD、MDMA、アヘン、ヘロイン、マジックマッシュルームなどがある。薬物依存症は、深刻になると幻覚や妄想にとらわれ、人格に異変をきたす。このため疑い深くなったり、恐怖感にとらわれ、暴力を振るったりすることもある。また、肝臓や腎臓など全身の臓器のダメージも大きい。
「薬物やアルコール依存症になる人は、何かに依存しなければ自分を保てないようなストレスを抱えていることがほとんどです。思春期の子どもたちに薬物の恐ろしさについての知識を与えたり、周囲に薬物を寄せつけない環境を作ることはもちろん大事ですが、何かに依存しなければならない、その子の生きづらさや弱さに目を向けることも予防には大切なのです」と西脇医師はアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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