昨年末、日本財団パラリンピックサポートセンター(略称パラサポ)のスペシャルサポーターに就任した元SMAPの稲垣吾郎(44)草なぎ剛(43)香取慎吾(40)が「僕らがパラリンピックを応援する理由」をテーマに語り合いました。パラスポーツの“新しい地図”を塗り替える意気込みと、熱い思いがあふれました。日刊スポーツは今年も、2020年東京オリンピック&パラリンピックに多角的に迫ります。【首藤正徳、上岡豊】


香取が描いた壁画を背に、左から稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛(撮影・江口和貴)
香取が描いた壁画を背に、左から稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛(撮影・江口和貴)

 パラリンピックとの出会いは15年、SMAPとしてパラサポの応援サポーターに就任した時だった。その年に東京・駒沢公園で開催された「パラ駅伝」でパラスポーツを初体験した。

 稲垣 あの日のことは今でも覚えています。選手の方たちと、どう接したら良いのか分からなくて、緊張しながら現場に向かったのですけど、皆さんが喜んでくれた表情がとても印象的で。ずっと気になっていました。あの時と、ちょっと形は変わりましたけど、3人で引き継ぐことになったので頑張らなくてはと思っています。

 草なぎ 僕らが応援して手助けしないといけないのに、力をもらい助けてもらいました。ハンディを乗り越えている強さと説得力、自分に甘えないという姿勢を見て、わがままな自分を反省しました。だから、僕らにできることは何だろうって考えなきゃいけないと。

 香取 僕は、その後もアスリートの方とお会いする機会が何度かあったのですけど、皆さん、ずばぬけて明るいんです。その瞬間、その時、苦しみを味わっているんだろうけど、それを乗り越え新しい人生を見つけたからなのか、あふれる笑顔がすてきで。これは直接、会ったり、競技場で見てみないと分からないから、そういうことも伝えていかなきゃと思います。

 どのようにしてパラスポーツを広めていく?

 香取 3人の中だと草なぎ君が一番スポーツが得意なんです。パラリンピックの中には健常者も出られる競技があるので、ぜひとも出場していただきたいかな(笑い)。

 草なぎ あるんですか? それいいね。少し本気でやってみようかな。それをSNSで拡散するのもいいかも。

 香取 少しじゃなくて(笑い)。仕事は全部セーブしてアスリートになっちゃってもいいので。

 草なぎ それはちょっと困るな(笑い)。

 夏のパラリンピックは東京大会では全22種目ある。中には体験したことのある競技もある。

 稲垣 僕はブラインドサッカーを経験させていただいたのですけど、てんてこ舞いだった記憶があります。目隠しして怖いから集中できないで、音とかも聞こえてこないんです。

 香取 ボッチャを少しやったことあるんですけど、すごく楽しいんですよ。インタビュー中なのに、やりたくなってきました(笑い)。ルールも簡単で、3人1組なんで、2人にも勧めたいですね。

 草なぎ やってみたいね。

 稲垣 香取君が勧めるならやってみたいね。あと、サッカーがひどかったから、もう1度チャレンジしてみたいです(笑い)。

 20年、どんな形でパラリンピックの開会式を迎えたいのか。

 香取 皆さんの中で「こんな競技があるんだ」っていう言葉がなくなって、熱狂できたらいいですね。そして、20年が終わりじゃないから、その先もパラスポーツを楽しめるようにできればと思います。

 稲垣 「待ちに待ったパラリンピック」って思っていただけるようにしたいです。20年から注目するのでは遅いので、自分たちも勉強し、参加して楽しみを実感しながら活動していきたいですね。

 草なぎ 2人と同じ気持ちなんですけど、僕は選手として頑張りたいです !

 香取 同じ気持ちじゃないじゃん(笑い)。

 草なぎ 今日から精進して、「どの種目を目指そうかな」って(笑い)。でも、じっくり関わって、詳しくなっていきたいですし、皆さんと同じように20年までに成長できたらと思います。

 18年新春、何から始める?

 香取 ボッチャかな(笑い)。

 稲垣 競技をあまり見られていないので、まず現場に行って選手の皆さんにお会いしていろいろ体験していきたいですね。

 草なぎ 3月4日に「パラ駅伝」に参加が決まってますし、アクティブに動けるようにフットワーク軽くしていきたいですね。そして、選手の方に負けないくらいの気持ちで関わっていきたいです。

 香取 パラスポーツを多くの人に広め、そして競技場に足を運んでもらえるように全力を尽くしたいですね。そのためにも自分たちも足を運ばないと、皆さんと一緒に知っていきたいですね。

 稲垣 スポーツすることで僕らの心と体も健康になるしね。スポーツは裏切らないので20年が楽しみですね。

 その前に、今年は平昌でパラリンピックもあります。観戦は?

 香取 平昌、楽しみです。現地に行けないこともないかな。

 稲垣 僕らには言葉も分かる人もいるんで(笑い)。

 草なぎ はい。任せてください !

 3人 行っちゃおうか !?


パラリンピックサポートセンターのオフィスに香取慎吾が描き寄贈した巨大壁画
パラリンピックサポートセンターのオフィスに香取慎吾が描き寄贈した巨大壁画

<香取が10日間60時間かけた巨大壁画自ら解説>

 都内のパラリンピックサポートセンターには香取が寄贈した16平方メートルの巨大壁画が飾られている。10日間約60時間をかけて描き上げた大作だ。富士山、桜、キジ、ビル群など「日本や東京、パラリンピックを詰め込んだ」という壁画に込められた思いとこだわりを聞いた。

 香取 2年前、毎日、ここに通って朝方までビール飲みながら描いた日もあります(笑い)。ビル群に1、2、3とか数字が書いてあります。これは表彰台をイメージしているのですけど、1位が一番高い所じゃなくて。それは「順位ではなく、出場することがすばらしいことなんだ」って思いで描きました。金メダルも描いてあります。ここには、車いすの方やいろんなパラアスリートの方も来るので触れられるように手の届く高さのところにあります。あと、視覚障害者の方も手で触れて分かるように凹凸を付けているんです。でも、皆さん触れていないようで。皆さんここに来たときは触りまくってほしいですね。そのためにコーティングもしているので。触ってください ! (笑い)

 稲垣 圧倒的な存在感があって。最初に見た時、びっくりしました。僕らからすると考えられないので。香取君らしいなって。皆さんが触ることで絵の持つものが変わって育っていくのかな。

 草なぎ このキジは僕が描きました。ウソです(笑い)。愛あふれる作品ですよね。香取君のぬくもりを感じられるんじゃないかな。


<3月4日パラ駅伝応援>

 3人は3月4日に駒沢オリンピック公園陸上競技場で開催が予定される「パラ駅伝 in TOKYO 2018」の応援に駆け付ける。会場では香取が描いた巨大壁画をレゴブロックで再現したものも披露。また、同イベントを開催する日本財団パラリンピックサポートセンターでは現在、大会ボランティアを募集中。期間は12日まで。詳細はパラ駅伝のホームページを参照。


 ◆稲垣吾郎(いながき・ごろう)1973年(昭48)12月8日、東京都生まれ。89年NHK朝の連続テレビ小説「青春家族」に出演し注目される。90年「さらば愛しのやくざ」で映画初出演。93年「プライベート・レッスン」で初主演。ドラマは92年フジテレビ系「二十歳の約束」、04年にスタートした「稲垣吾郎の金田一耕助シリーズ」などで主演。現在はTBS系「ゴロウ・デラックス」に出演中。血液型O。

 ◆草なぎ剛(くさなぎ・つよし)1974年(昭49)7月9日、愛媛県生まれ。フジテレビ系ドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」、「海峡を渡るバイオリン」の卓越した演技が評価され、05年の橋田寿賀子賞を受賞した。韓国語が得意で「チョナン・カン」の名前で同国の番組にも出演。現在はテレビ朝日系「『ぷっ』すま」に出演中。27日には「NHKスペシャル 未解決事件File.06 赤報隊事件」に俳優として出演する。血液型A。

 ◆香取慎吾(かとり・しんご)1977年(昭52)1月31日、神奈川県生まれ。88年に11歳でSMAPのメンバーに。04年NHK大河ドラマ「新選組 ! 」で主演。06年フジテレビ系「西遊記」など多くの主演作がヒット。09年にはニューヨークのオフ・ブロードウェーでミュージカル「TALK LIKE SINGING」に出演。現在はフジテレビ系「おじゃMAP !! 」に出演中。血液型A。