<女子サッカー五輪3大会出場 ドイツ1部エッセン 安藤梢(34)>

 五輪は04年アテネ大会から3大会連続で出場しています。サッカーは各地を転戦するので開会式も閉会式も出ていませんが、決勝トーナメントに勝ち進むと選手村に入れます。他の競技の選手に金メダルを見せてもらい、刺激も受けました。五輪は国民全体の応援を感じられて、試合では自分の持てる力以上のパワーが出るような気がしました。

 それだけに昨年のリオ大会の出場を逃した時は頭が真っ白になりました。前年のW杯カナダ大会で左足を骨折して、もう1度頑張ろうと思えたのは「リオ出場」という強い思いがあったから。予選メンバーからは外れましたが、本番を目指して前を向いていたのでショックでした。女子サッカーは五輪出場を続けることで注目してもらえる。その意味でも残念でした。

 たまたまエッセンのチームメートにリオ大会で金メダルを獲得した選手がいて、メダルを見せてもらいました。やっぱり金と銀では輝きが違いました。日本は04年ベスト8、08年ベスト4、12年銀メダル。リオは出場権を逃しましたが、自国開催で注目度も高まる20年大会で何としても金メダルを取りたい。そうすれば女子サッカーが日本にしっかりと根付くと思っています。

 東京五輪は38歳で迎えます。あと3年半、まだまだ成長できると思っています。筑波大時代の21歳の頃に「チーム梢」をつくって以来、計画的にトレーニングを続けてきました。今、その成果を感じています。チームでも先頭集団で走れているし、衰えはありません。メンタルが安定してきたし、体の使い方も含めて、試合の中で必要なプレーが分かるようにもなって、今すごくサッカーが楽しい。

 20年大会開催へ向けて、国内では競技場建設をめぐる騒動がありましたが、私が出場した過去3大会も決して完璧ではありませんでした。開幕直前に現地入りしたのに選手村は工事中だったり、看板がなかったり。でも、始まればすごく盛り上がる。細かいことは抜きにして、みんなで楽しむことができる。日本もまずは五輪を楽しむための雰囲気をつくることが大切だと思います。


(2017年2月22日東京本社版掲載)

【注】年齢、記録などは本紙掲載時。